陸上競技から競輪の世界に入りました。小学生の時は60メートルハードル、中学では110メートルハードル。中学では全国大会に行った程度でしたが、高校に入ってそこの練習が苦しくて。自然に400メートルも速くなって力が付いていきましたね。

アテネオリンピック(五輪)は400メートルハードルに出場しました。本当は五輪で戦わなければいけないけど、出るのに精いっぱいで。そこで力尽きちゃって本番は予選で落ちました。

当時は日本選手権で3番以内でA標準を切ったら五輪に行けました。日本選手権は着順は2番で権利はありましたが、A標準のタイムが切れなかった。五輪に出るために、日本選手権の後、自分で記録会を見つけて参加しました。締め切り直前の7月静岡県陸上競技選手権の、最後の最後でA標準の記録を切れて五輪に出られた。五輪は子供の時から行きたかった。その夢がかなってそこで満足して。戦うというか行くだけで満足してしまいました。

競輪を始めて10年たって、感覚というか力の出し方が分かってきた。最初は自転車と走ることって、まったく力の出し方が違うと思ってました。走るのは地面に着いた瞬間だけ力を入れる。自転車は全体に力を加えて回す。でも最近はそうじゃなくてもいける。自転車でもいい位置で力を出していけると分かってきた。

僕はアテネだったけど、日本の東京でできるっていう奇跡的な時に、競技ができてそこを目指せるのはある意味、運命。そこはジェラシーも感じますね。東京五輪を目指している選手は、僕と同じで夢でもあると思います。でもそこに出たらいいけど、出られなくてもいい。終わった後、頑張った延長でいろいろな競技人生があると言いたいですね。五輪が終わった後、抜け殻ではないけど、そうなる人も結構いると思う。終わった先もいろいろなことが待っている。周りもそういう環境作りをしていってもらいたいです。(283人目)