【パリ6日=阿部健吾】女子50キロ級で須崎優衣(25=キッツ)が1回戦でインド選手に敗れ、東京五輪に続く金メダルを逃した。

終始攻めあぐね、試合終了間際に逆転負けした。国際大会デビューからの海外勢連勝記録が94で止まる衝撃の黒星となった。5日の男子グレコローマンスタイル60キロ級では東京五輪銀メダリストの文田健一郎(ミキハウス)は決勝進出。グレコローマンスタイルでは84年ロサンゼルス五輪の宮原厚次以来40年ぶりの金メダルにあと1勝とした。女子68キロ級の尾崎野乃香(慶大)は準々決勝で敗れたが、敗者復活戦を勝って3位決定戦に進んだ。

   ◇   ◇   ◇

裂傷した口元をかみ、覚悟した。「完全にもう負けていた試合だった」。残り10秒で相手の圧力に屈して背後を取られた。コーチ陣が再検証を求めるチャレンジをしたが、敗北は何よりも戦い終えた体が分かっていた。「マットの上に立っていた時は現実なのかわかんなかった」と相手の手が上がるのを受け止めた。

ビネシュは1つ上の53キロ級で19、22年の銅メダリスト。「初めての対戦だった。どういうタイプかわからなかったんですけど、しっかり対策も研究もしてた」という。ただ、開始から思い切りに欠けた。逆に敵の策は既視感があった。4月のアジア選手権でも、試合終盤までひたすら守りに徹し、最後に勝負をかける海外選手がいた。

対策を打ち破り続けたからの連勝記録だったが、恐れていた「負けパターン」にはまった。タックルを防がれ、リードは相手の罰則で得た2点のみ。残り10秒を切って前に出てきた相手に後手に回り、敗れた。「五輪王者になる器じゃなかった」と涙に暮れた。関係者によると、6月中旬の練習中に靱帯(じんたい)を損傷。ギプスで固定する生活が2週間ほど続いた。

パリ、ロサンゼルス、その先まで視野に4連覇を思い描いていた。「何が足りなかったのか今は分からない。しっかり見つめ直して、またいつかオリンピックチャンピオンになる日を目指して戦いたい」。あまりにも早い幕切れだった。