平昌(ピョンチャン)オリンピックが9日、開幕した。韓国5000年の歴史を約30分で表現。1218機のドローンが夜空に舞い、平和の象徴・ハトやオリンピックを象徴する5つの輪を作った。歴代オリンピックのメダリストや人気スポーツ選手が聖火ランナーとして登場し、南北単一チームで話題となった、女子アイスホッケー選手2人(南北1人ずつ)が聖火を持って階段を駆け上り、点火者にトーチを渡した。

 最上階の氷上で聖火を待っていたのは、フィギュアースケートの10年バンクーバー五輪金メダリスト、キム・ヨナさん(27)だ。真っ白な衣装で氷上を美しく舞い、場内を盛り上げた。直後、米CNNや英BBCなど、世界のメディアがその演出を絶賛した。

 聖火点火者の存在は、IOC(国際オリンピック連盟)はもちろん、大会組織委員会が極秘にしており、直前の登場で「オーッ」となるのが、今までの流れだ。96年アトランタ・オリンピックのモハマド・アリ氏のようなサプライズが代表的で、開会式の楽しみの1つだ。

 今回は、聖火を採火した時点から、点火者としてキム・ヨナさんの名前が第1候補として挙がっていた。北朝鮮の参加で、南北合同点火もうわさされたが、やはり誰もが納得する人選だろう。世界的な知名度、かつ実績。何を挙げても申し分ない。韓国は、ショートトラックやスピードスケートで過去に冬季オリンピックで複数の金メダルを取った選手が多いが、やはり異論のない人選といえる。

 2年後の東京オリンピック。誰もが納得する点火者は誰か? 水泳の北島康介さん、野球界ならホームラン王の王貞治さんかイチロー、メキシコ五輪銅メダリストの釜本邦茂さん、シドニー・オリンピック女子マラソン金メダルの高橋尚子さん、複数の金メダルを取った柔道家…など、私見ではあるが、多くのアスリートの名前が頭に浮かぶ。

 競技が異なり、比較は難しいが、実績の面では、キム・ヨナさんを上回る人もいるだろうが、世界的なインパクトの面で考えると、人選は難しくなる。98年長野オリンピックでは、伊藤みどりさんが聖火をともしたが、私はその印象より、むしろ開会式の選手団先導役を力士が務めたことの方が、記憶に残っている。

 2年後、日本中を駆け回るはずの聖火。各競技も楽しみだが、点火者を予想するのも、楽しみの1つだ。【盧載鎭】