競技場とホテルを往復するばかりの日々の中でも、ちょっとした文化交流があると心が落ち着く。会場へ向かうバスに乗るセキュリティーチェックの韓国人スタッフが、見慣れた帽子をかぶっていた。ネービーに「YS」の文字。そうプロ野球ヤクルトのキャップだ。話してみると「山田哲人が好きなんだ」と笑顔。大の野球好きで、日本の野球にも興味を持ったという。

 筆者のアイフォーンケースにはカープのマスコット「カープ坊や」が描かれている。それを見せると、眼鏡を掛けたインテリ感漂う、その青年が「OH! 菊池! 忍者! 守備すごすぎ」と大興奮。後ろに並んでいた欧州からと思われる人は「こいつら、何をそんなに盛り上がってんだ」みたいな顔をしていたが、心は和み、気分転換になった。

 2年後には東京に五輪がやってくる。自分の好きなもののグッズを1つ身に着けるだけでも、会話の入り口になる。それだけで外国人の「おもてなし」となるかもしれない。【上田悠太】