世界女王が圧巻の五輪デビューを飾った。世界選手権2連覇中のエフゲニア・メドベージェワ(18=OAR)が自らが17年国別対抗戦で作った世界最高点を0・21点更新する81・06点をたたき出した。

 ショパンの「ノクターン」に乗って、観客を引き込んだ。ジャンプでは代名詞の手を上げながら跳ぶ「タノジャンプ」も決め、豊かな表現力もいかんなく発揮した。演技構成点は10点満点中9点台中盤と高水準でまとめる演技で、フィニッシュまで流れるように滑り終えた。

 「緊張はなかった。集中していたわ、もしかしたらし過ぎていたかも。もう少しリラックスしないと」

 4年に1度の大舞台にも平然。男女シングルで五輪で世界記録をマークしたのは、男子は14年ソチ大会の羽生結弦、06年トリノ大会のプルシェンコ、女子は10年バンクーバー大会の金妍児のみ。いずれも金メダリストになっている。

 右足骨折からの復帰戦となった1月の欧州選手権で、後輩のアリーナ・ザギトワに敗れて2位に終わった。やや安定感を欠いたジャンプはまだ体調的にも万全でないことをうかがわせていたが、しっかりと五輪舞台に調子を上げてきた。

 国ぐるみのドーピング問題の影響で、ロシア国旗を使えないOARの看板選手。10日の公式練習では、真っ黒なウエアに身を包み、「誰にとっても、私たちがどこの国から来ているかは自明」とロシアから参戦する誇りを感じさせた。

 この日の自己評価は「5点満点で3・75点かな」。辛口なのは、21日から始まる個人戦へ上積みする自信の裏返しか。過去2季にわたって君臨してきた銀盤の若き女王は、その座を五輪でも譲らない。