五輪の知的財産保護を目的とした日本オリンピック委員会(JOC)の規制が、平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)直前に波紋を広げている。

 代表選手が所属する企業や団体に壮行会を非公開とするよう求めていることが話題を呼んだが、規制に競技のパブリックビューイング(PV)も含まれることが3日までに分かった。厳しい制限に対する所属企業などからの批判に、JOC関係者も五輪スポンサーの権利保護と所属先への配慮で「どうバランスを取るかが難しい」と頭を悩ませる。

 JOCによると、自治体が主催するPVを市民やメディアに公開することは、放送権を持つテレビ局などの許可があれば問題ないという。一方、企業や学校などには、五輪を利用した商業的な「宣伝行為」につながる可能性があるとして認めていない。

 スノーボードの戸塚優斗選手(ヨネックス)が在籍する神奈川・光明学園相模原高は、競技団体からストップがかかり、PVを校内イベントに切り替えた。スピードスケートの加藤条治選手が所属する博慈会はPVを主催できないと分かると、所在地の東京都足立区に開催を依頼した。

 「オリンピック」の呼称や五輪マークの使用は、巨額の契約金を払ったスポンサーに独占的に許されており、JOCはそれ以外の企業や団体には、所属選手が五輪代表に決まった事実や五輪での競技結果の公表も認めていない。

 20年東京大会の関係者からは「東京で同じこと(規制)をやったら大変なことになる」と懸念する意見もある。JOC幹部も「このままでいいとは思っていない」と話し、平昌五輪後に対応を再検討する方針だ。