レジェンドの8度目の挑戦が終わった。男子団体(ヒルサイズ=HS142メートル)でソチ五輪銅メダルの竹内択(北野建設)、伊東大貴(雪印メグミルク)、葛西紀明と初出場の小林陵侑(ともに土屋ホーム)で挑んだ日本は合計940・5点で6位に終わり、2大会連続メダルを逃した。世界最多8度目の五輪だった葛西は、22年北京オリンピック(五輪)を目指すことをあらためて明言。悲願の金メダルへ、世界の空を飛び続ける。

 45歳のレジェンドは、世界が演じる大ジャンプの競演を、ただ見つめるしかなかった。トップのノルウェー、2位ドイツ、3位ポーランドの3強の息詰まるメダル争いを横目に、日本は1回目の竹内が6位と出遅れると、その順位が最後まで「定位置」になった。トップとは158点差と埋められないほどの大差。それでも葛西は「悔しい気持ちが湧いてきた。まだいける」と、白旗は上げなかった。

 前回ソチ大会後に結婚した妻怜奈さん(33)、愛娘の璃乃ちゃん(2)ら家族が駆けつけ「パパ」として臨んだ初五輪だった。だが、今大会のラストフライト(2回目)は125メートルとK点まで飛距離を伸ばすのがやっと。今季、W杯でも10位が最高と苦悩したシーズンを象徴するジャンプだった。

 二十数年、世界のトップで戦った経験から、多くの引き出しから打開策を探ったが、答えが見つからなかった。今大会は個人、団体ともにメダルに届かなかった。「8回も出場してすごい記録を作れて良かった」と納得した。

 年齢的にも今後の去就が注目される。「次を目指すというか、絶対に出ます。今回は家族に見てもらったので、次は家族の前でメダルを取る」と言い切り、現役続行をあらためて明言した。これまでメンバーから漏れた98年長野五輪の屈辱、所属先のスキー部の廃部も2度経験した。02年ソルトレークシティー五輪は個人2種目で2回目にさえ進めず「もうこれは駄目かな」との思いもよぎった。不屈の心と鋼の体で何度も立ち上がり復活したレジェンドなら、4年後も必ずこの舞台に帰ってくる。【松末守司】