冬季オリンピック(五輪)の日本女子最年少メダルが見えた。16歳2カ月の岩渕麗楽(キララクエストク)がスノーボード女子ビッグエア予選を3位で通過した。2回目に逆スタンスで踏み切って2回転半する「キャブ900」を完璧に決め、92・75の高得点をマーク。期待の高校1年生は、23日の決勝で世界最高難度の縦2回転、横3回転する技を2回、それぞれ違う方向で回転する挑戦を予告。成功すれば世界初となる偉業で、金メダルへ狙いを定めた。
着地を決めると、右手を軽く突き上げた。2回目。岩渕はボードをつかむグラブをしながらの「キャブ900」を完璧に決めた。92・75点のアナウンスを聞くと、満面の笑み。「今までのやってきたキャブ900の中で一番いい」と振り返った。
1年前にはリフトの券を買ったら「小学生? 中学生?」と尋ねられた。身長149センチで、顔もあどけない。そんな高校1年生は五輪の舞台も「レベルが高い分、楽しい大会」と重圧とは無縁の様子だ。決勝は「金メダルを取りたい」と宣言し、秘策も予告した。
「金メダルには3回転する技を2方向に持っていないと厳しいと思う」
世界で数人しかできない縦2回転、横3回転のバックサイドの「ダブルコーク1080(DC10)」に加え、正スタンスから入るフロントサイドの「DC10」挑戦も視野に入れた。自身も雪上ではトライすらしたことがない。ただ昨年5月の米国合宿ではバックサイドDCを、雪上初挑戦で成功させた天才だから、再びできる手応えがある。海外勢も大技を秘めており「それを出さないといけない」と言った。西田コーチは「DC1260という考え方もある」。女子では前代未聞の縦2回転、横3回転半する究極技も選択肢にあると明かした。
予選をしのぐ技を秘める高校1年生には、冬季五輪の女子日本選手最年少メダルの期待が懸かる。現在の記録は10年バンクーバー五輪時の浅田真央さんで19歳153日。3本中2本のベストスコアで争う決勝は23日、岩渕は16歳71日だ。歴史を塗り替えるニューヒロイン誕生の気配がある。【上田悠太】
◆岩渕麗楽(いわぶち・れいら)2001年(平13)12月14日、岩手県一関市生まれ。現在は一関学院高に在学。スノーボードは4歳から始める。昨季の日本選手権スロープスタイルを制覇し、世界ジュニア選手権は、スロープスタイル、ビッグエアで準優勝。今季からW杯に参戦し、昨年12月にビッグエアで初制覇した。今年1月の世界最高峰の戦いXゲームでも2位となった。好きな食べ物は、シャインマスカット。趣味はお菓子作りで「プリンとかチーズケーキとか、よく作ります」。家族は両親と妹。所属は、キララクエスト・スノーボードクラブ。身長149センチ。