日本初の冬季五輪個人2冠を狙う小平奈緒(31=相沢病院)が今日14日、世界記録を持つ1000メートルで最初の金メダルに挑む。12日の1500メートルで6位に入り、“試運転”は完了。13日は会場リンクで軽めに調整し、決戦に備えた。1500メートルで銀メダルを獲得した高木美帆(23=日体大助手)も最後の仕上げを行い、ダブルエースのワンツーフィニッシュに期待が高まる。

 狙って勝ちにいく。決戦を翌日に控えた小平は、午後5時から、誰もいないリンクで静かに調整した。結城コーチとスタートなどの動きを細かく確認し、30分程度で氷から降りた。前日の1500メートルを滑り、仕上がりの良さを実感。本番の雰囲気も肌で感じ「1000メートルでも氷とけんかをせずにスピードを上げていけると思う」と自信を深めた。

 「日・蘭・韓」を融合したフォームが強さを生み出した。メダルを逃した14年ソチ五輪後にスケート大国オランダに留学。上半身を起こし、股関節を下げる新たなフォームを学び、下半身は韓国選手のように低く沈み込むような動きを意識した。その2つを、古武術などを取り入れた、結城コーチと築いてきた土台に合わせ、3度目の五輪へのスタイルを作り上げた。

 24連勝中の500メートルの陰に隠れているが、1000メートルも金メダルの最有力候補だ。昨年11月にW杯参戦11年目で初優勝を果たし、同12月には日本女子で初めて世界記録を更新。急成長を遂げ、「やっと自分の距離になった」と2冠も意識するようになった。

 個人種目でメダルを逃した10年バンクーバー、14年ソチ五輪は「周りから求められているものと、実力がかけ離れていた」と悔し涙を流した。スピードスケートの金メダルとなれば、清水宏保氏以来日本人2人目、女子では初の快挙となる。「過去2回とは違い、すごく自分の足が地に着いている」と語る女王が、自然体のまま頂点へと駆け上がる。【奥山将志】