稲見萌寧(21=都築電気)が東京五輪(8月4日開幕、埼玉・霞ケ関CC)出場への喜びを爆発させた。

29日に行われた資生堂レディース(7月1日開幕、神奈川・戸塚CC西)の公式会見で、28日時点の世界ランキングで日本勢2番手となる27位につけ、11位の畑岡奈紗とともに代表入りした五輪への思いを語った。わずか1年前はほぼ無名の存在だったが、高い目標を掲げ夢を実現させた。

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本音を隠し続けて戦ってきた稲見が、解放されたように冗舌に話した。「めちゃくちゃうれしいです。先週までは、本当はめちゃくちゃ出たかったけど、目の前の試合に集中するために『意識していない』と言ってきた。実はみなさんをだましていました。すっきり本音を言えて良かった」と笑顔をはじけさせた。

代表決定前最後の大会となった前週のアース・モンダミン・カップで今年初の予選落ち。その前週から調子を落とし、表情も硬かった。五輪の重圧と必死に闘っていたが、大会が終わり、古江、渋野と争った最後の1枠は、世界ランキングで日本勢2位の稲見のもとに転がり込んだ。

昨年の今ごろは同ランキングも日本勢4番手。五輪を「気にしていなくて、考えもしなかった」。無名ともいっていい存在だった。19年にブレークした渋野や、昨年3勝の古江は遠い存在。それでも、今年に入り5勝を挙げ、一気に2人を抜き去った。候補の2番手になってからがきつかった。「本当に意識したのはここ何試合か。最後まで分からなかった」と苦しかった胸の内を打ち明けた。

今後は、7月29~31日開催の楽天スーパーレディースまで試合に出続け、8月4日開幕の五輪に臨む。目標を聞かれると「もちろんメダルが取れたら本当にすごいこと。そこまでいけるかどうかは本当に分からない。自分のベストを尽くしていけたらいいな。でも、今は楽しみたい気持ちが多いです」と夢見心地に話していた。【桝田朗】

◆稲見萌寧(いなみ・もね)1999年(平11)7月29日、東京・豊島区生まれ。9歳でゴルフを始め、12年関東小学生選手権、14年関東中学生選手権、15年東日本パブリックアマ優勝。ツアーは15歳で出場した15年中京テレビ・ブリヂストン10位、16年三洋電機レディース8位。18年プロテストに高卒で1発合格。19年のセンチュリー21レディースで初優勝し、通算7勝。今季、賞金ランキング2位。168センチ、58キロ。