女性蔑視発言で辞任した東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長(83)の後任人事を巡り、選定が混迷した新会長に18日、五輪相だった橋本聖子氏(56)が就任した。開幕まで半年を切り、新型コロナウイルス対策など課題山積。夏冬7度の五輪出場を誇る申し子ながら、過去のセクハラ疑惑など悩みも、逆風もある中で新たな顔になった。国務大臣規範(兼職禁止)により五輪相は辞職した。

  ◇   ◇   ◇

政府関係者は五輪相としての手腕について「手堅い」とした。確かに、踏み込んだ発言はあまりなく、失点を出さない手堅さを感じた。取材で官僚が用意した紙を読むが、相手の目を見ながら必ず自分の意見を織り込む。取材では、冗談で場を和ませることもあった。政治家に時々ある「上から目線」はなかった。

政府関係者は「表裏がない。誰に対しても偉ぶることはない。裏で職員を怒鳴りつけることもなかった」と明かした。政府筋では「敵がいない人」と言われる。安倍晋三前首相や菅義偉首相をはじめ、主立った政治家との関係は良好。官僚からの評判も良かった。

何かあれば、「すぐに聞いてみます」と組織委会長だった森喜朗氏らに即電話。IOC委員との関係も良好で、IOCからも一目置かれていた。「まず、官僚の説明を聞いた上で、幅広いネットワークを駆使して情報収集し、決断していた。しっかりと五輪相の立場を築いていた」と話した。

コロナ感染拡大前は官僚らと飲みに行くこともあった。別の政府関係者は「午後6時から始まり、午後11時過ぎに同席者が終了を促すまで、アスリート時代の話など、ずっと話していた。とても気さくでした。ハグはお好きみたいですが(笑い)」と明かした。

酒は飲むが、スリムな体形を維持している。関係者によると、水分をあまり取らず、昼食はサンドイッチ半分だけなどほぼ食べない。出張で会食が午前1時に終了し、同5時から酒を抜くため走り込むこともあったという。体調管理に関するストイックさはアスリート時代と変わっていない。【近藤由美子】