東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)が4日、都内で定例会見を開き、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長の提言に対して熱弁した。

尾身会長は「今の状況でやるのは、普通はない。いったい何のためにやるのか目的が明らかではない」と発言。大会の開催意義が問われていることについて、組織委の会長としての考えを求められると、マイクを手にしてから回答を終えるまで「7分ジャスト」の力説で開催へ理解を求めた。

主な発言は以下の通り。

「尾身会長のご発言は非常に重要であり、重く受け止めないといけない。より簡素化、最適化に向けて、いっそうの努力をしていかなければ、国民の皆さんにご理解をいただけないものと思っている。私どもも(専門家)ラウンドテーブルを設置しており、アドバイスをいただき、さらに精緻化、いっそうの努力をしていかないといけない」

「8年前に招致が決まった後、大会延期は史上初で誰も経験したことがない。コロナがない時代は、国が一丸となり、スポーツの枠を超えた文化、教育、平和の追求をし、今回は日本のテクノロジーを世界に発信する最高の機会であった。オリンピック・パラリンピックが、国の今後のレガシーになるべきものとして活動してきた」

「ただ、この1年間は、どう新型コロナウイルス感染症を抑えていくのかを考え、準備を進めてきた。何よりも大事なことは、日本が、世界が1日も早く感染症を収束させること。五輪がある、ないに関わらず。東京大会を準備するに当たって、世界の皆さんが、こういった状況の中でも何としても開催することができないか、とおっしゃってくれて9万人弱をお出迎えする準備をしている」

「世界が大変な困難に直面しているからこそ。東京大会でどのようなコロナ対策を講ずるかによって、例えば観光客の方々を今後、国としてどう受け入れていくか(参考になり)大きな前進が見られることも、東京大会の意義や価値ではないか。世界が直面する課題は、共通のものが多くなってきた気がする。コロナを含め、まだまだ平和とは、ほど遠い生活をしている方々がいらっしゃる。戦争、自然災害、感染症といった共通の課題を世界が持っている中で、世界が注目するこの大会を、安心安全を最優先に考えて乗り越えていくことが、この東京大会の使命と思っている。一丸となってコロナ感染症を抑え込んでいく。1日も早く、多くの国民の皆さんが生活を取り戻せるように。次代にレガシーとして残していくことが重要」

「一方、アスリートに対して『開催すべきではない』という声も届いている。スポーツには役割がある。スポーツは大きな産業でもあり、その中で頑張っている方もいらっしゃる。もっともっと組織委員会が発信力を持って、ご理解いただけるように努力していかないといけない」