東京五輪・パラリンピック組織委員会が観戦チケットの公式リセール(転売)サービスの実施を断念することが16日、大会関係者への取材で分かった。チケットの追加販売も取りやめる。政府がこの日、五輪時の観客上限について具体的な見通しを示したことを受け、その上限に収まらないセッションのチケット保有者に対し、7月上旬から再抽選を開始する方向で調整に入った。

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公式リセールは観戦チケットを定価で自由に売り買いできる便利なシステムだった。例えば、予定が変わり購入していたチケットの日程で観戦ができなくなった場合、公式販売サイトに出品。一方、購入希望者は同サイトで欲しいチケットを探せる。マッチングが成立すれば、チケット代金も座席も無駄にならない。これができなくなる。

組織委の公式チケット販売サイトによると、同サイト以外での転売はできず、オークションサイト等に出品されたチケットは全て無効化される。家族や知人に定価以下で譲渡することは認められているが、範囲が限定的で公式リセールほどの利便性はない。

ただ、東京大会では新型コロナウイルス禍で観客数の決定を開幕約1カ月前まで先送り。開幕までの日程で、観客上限を超えているセッションの再抽選や払い戻しを実施しなければならず、しわ寄せを受けた公式リセールサービスの実施を断念せざるを得なくなった。

同様に、チケットの追加販売や整理券はがきによる先行窓口販売も取りやめる。組織委関係者は「観客上限の決定を引っ張ったことで、通常やろうとしていたサービスができなくなった」と事情を説明した。

この日、政府が五輪時の観客上限について具体的な見通しを示したが、開幕まではわずか1カ月。早急にチケット保有者に対し、再抽選と払い戻しの行程を示さなければならない。関係者によると7月上旬には再抽選を開始し、並行して払い戻しの受け付けも行えるように調整する。