【見事的中】落合が指針 村上宗隆が令和初3冠王となるには/物語のあるデータ〈1〉

令和初の3冠王誕生を見透かしたかのような開幕前の目付けです。大ベテラン記者の、予言者のような連載第1回をあらためてどうぞ。

連覇に挑むヤクルトの主砲村上宗隆内野手(22)には今季、3冠王の期待がかかる。昨年、本塁打王に輝き、打点は岡本和(巨人)に1差の2位(112打点)だった。課題は打率だ。2割7分8厘をどこまで引き上げるか。そんな村上に、参考となる大選手がいた。1985年の落合博満(当時ロッテ)だ。2度目の3冠王に輝いたこの年、前年の打率を一気に5分3厘もアップさせた。あっと驚くその中身に迫った。

プロ野球

2022年3月5日、中日とのオープン戦の1回に左二塁打を放つヤクルト村上宗隆

2022年3月5日、中日とのオープン戦の1回に左二塁打を放つヤクルト村上宗隆

打者は通常、追い込まれると打率を下げる。

厳しい球に手を出さざるを得なくなり、数字は上がらない。21年の村上もそうだった。

0ストライクからは4割4厘の高打率を残した。それが2ストライク後は1割9分6厘に下げた。

落合と同じ85年にセの3冠王となったバース(阪神)も0ストライクで4割4分9厘、それが2ストライク後は2割5分1厘まで落とした。

落合は違った。2ストライク後に3割7分4厘の数字を残した。

全568打席中、初球から打って出た打席はわずか35(32打数15安打=4割6分9厘)しかない。2ストライク後が約半分の235打席(203打数76安打)もあった。相手に球数を投げさせ、失投を捉えた。決め球を投げるカウントに導き、それを狙い打つ技術も持ち合わせていた。

ロッテ落合博満は西武の松沼兄から29号本塁打を放つ。この年、落合は3冠王を達成した=1982年9月26日

ロッテ落合博満は西武の松沼兄から29号本塁打を放つ。この年、落合は3冠王を達成した=1982年9月26日

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。