打率3割が絶滅危惧種に? 加速する投高打低に歯止めはかかるか/物語のあるデータ

今年は何人が打率3割をクリアするでしょう。「一流打者の証し」といわれる数字ですが、ここ数年、減少傾向が止まりません。両リーグ合計の選手数を見ると、20年の12人から、11人、6人と来て、昨年はわずか5人になりました。2リーグ制後では最少です。野球という競技は、得点の多いチームが勝利します。打たないことには勝機はつかめません。「投高打低」といわれる時代、減少を止めるべく打者の奮起を期待しましょう。

プロ野球

2割9分9厘7毛

ヤクルトの外野手サンタナは昨年、最後の打席で安打を放ち、3割に乗せた。10月1日に行われた巨人戦の4回、グリフィンから左前打すると、代走が出て交代した。2打数1安打。残す1試合は欠場し、3割ちょうどで、セの打撃成績3位につけた。

3割はそれだけこだわりたい、価値のある数字なのだろう。もっとも正確にいえば、サンタナは3割に満たなかった。467打数の140安打。打率2割9分9厘7毛で、四捨五入されての3割だった。

このケースはしばしばみられる。00年以降を見てもセで5人、パで6人が四捨五入の3割となっている。昨年、セの首位打者に輝いたDeNA宮崎敏郎(3割2分6厘)も、一昨年はそんな1人だった。

残り2試合となった巨人戦(10月2日)で2打数2安打。サンタナ同様に最終戦は欠場して、通算を434打数130安打の2割9分9厘5毛とした。最後の最後に見せつけた勝負強さが、翌年のタイトルへとつながったのかもしれない。

20年ひと昔

2リーグ制となって最も3割打者が多かったのは、04年のこと。セ21人、パ15人の計36人もいた。この年のリーグ全体の打率は、セが2割7分5厘で、パは2割7分8厘だった。

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。