マー君は200からどれだけ積めるのか 大台を境に急加速した男/物語のあるデータ

楽天田中将大投手(35)が今季、200勝に挑む。日米通算197勝。到達は時間の問題だろうが、21年の日本復帰後に続く「借金生活」が気になる。毎年、勝利より敗戦が上回る。区切りの数字をきっかけにしてかつての「貯金を増やす男」に戻るだろうか。西武東尾修投手は入団から常に借金を背負いながら、200勝を達成するや、返済を一気に加速。ユニホームを脱ぐときには、借金が貯金に変わっていた。

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■あと3勝から足踏み

田中将の200勝は昨年中に達成されてもおかしくなかった。197勝目を挙げたのは8月26日のこと。チーム111試合目、32試合を残し、自身の登板も5試合あった。結果は無念の3連敗。あと3勝のままシーズンを終えた。

9月9日のソフトバンク戦では、6回まで3安打無失点。2点の援護を受け、勝利を目前にしながら、7回に四球を挟んで4連打を浴び、一挙に5失点して勝ちを消してしまった。

21年の日本復帰から、いまひとつ勝利を増やせない。4勝9敗、9勝12敗、7勝11敗。今年中に200勝は超えるだろうが、本人の意識はあくまでも通過点だろう。今江敏晃新監督も、3勝で満足されては目算が外れてしまうはずだ。

東尾の200勝は、84年9月15日の南海戦で達成された。

7回2死まで無安打投球。終わってみれば、2安打完封だった。「これまでオレ自身は努力と節制をずっと続けてきたつもりだけど、だれもそうは認めてくれないんだよ。まだ若手に抜かれんよう、1年でも長くプレーするよ」。

プロ16年目のベテランは冗談めかして、大台突入を喜んだ。200勝はこの年の13勝目(13敗)。199勝目を挙げてから3度目の挑戦だった。

この時点の負け数は214。このあと1勝1敗を加え、シーズンを終えた。通算201勝215敗。まだまだ借金を抱えていた。

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。