ホワイトで勝つ方法とは 教える学び舎誕生/指導者必読の連載〈10〉

スポーツ指導の現場では、なぜ体罰や暴言が続くのでしょうか? 今年に入ってからも体罰によって指導者が処分される事件が後を絶たず、暴行により逮捕される事案もありました。大阪市立桜宮高のバスケットボール部主将が、顧問を勤める教員の体罰を苦に自殺をしてから10年が過ぎ、4月25日には、スポーツ5団体が「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」を表明してから10年という節目を迎えます。指導に携わるさまざまな人々の証言から、あらためてスポーツ指導を考えます。第10回は、ブラック部活と正反対の指導を目指す「スポーツ指導ホワイト学院」に迫ります。

その他スポーツ

 
 
 
 

黒(ブラック)を白(ホワイト)へ。

ブラック部活と正反対の指導を目指す「スポーツ指導ホワイト学院」が、4月1日から受講生の募集を始めた。一体どんな学校なのだろうか。

宮下氏 指導者や、指導者を目指す方にホワイトな指導方法をオンラインで伝えていきます。なぜ、体罰や暴言などブラックな指導がなくならないかといえば、それしか勝ち方を知らないからです。勝ちたい指導者は、ブラックでなければ勝てないと思っている。でも、ホワイトな方法の方が勝てると分かれば、勝ちたい人が変わっていきます。「ホワイト化=弱体化」ではない。ホワイト化するからこそ可能な新しい勝ち方を伝えたい。そう考えて学校を作りました。

同氏は、千葉県内の体操教室「フジスポーツクラブ」で代表取締役社長を務めている。会社員から転身してクラブにきたとき、パワハラ指導が行われていると知って驚いた。徹底的に調査をして、問題ある指導者は退職させた。その経験から、パワハラ指導の相談窓口をつくって対応するなど、体罰や暴言の撲滅するために活動している。

宮下氏 相談を受けたら、私は戦うことを勧めません。戦って、パワハラ指導者を処分、辞任に追い込むことが解決ではなく、選手の環境が良くなることでしょう。それなら、他のいい環境を探しましょうと言います。ただ、その「いい環境」が少ないのが問題。だから、それを増やしたいんです。

 
 

ホワイトで、勝てる指導とは一体どのようなものか?

本文残り77% (1973文字/2578文字)

編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。