【特別編集委員コラム】スポーツマンシップに満ちたDリーグ ダンスのプロに魅力感じる/連載2

4月に発足した「特別編集委員室」は「特区」の位置づけです。6人の委員に担当の分野はなく、興味があればどこにでも行き、何を書いてもOK。題材の選択にも、個性が発揮されます。プロ野球の取材に長く軸足を置いていた委員が見た、新しい風景は。不定期連載のコラム第2話です。

その他スポーツ

◆飯島智則(いいじま・とものり)1969年(昭44)生まれ。横浜出身。93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。

12チーム総当たり戦 観客も採点

先日、Dリーグの最終ラウンドを観戦してきました。ダンスのプロリーグです。東京ガーデンシアターで6日に行われました。

リズムのいい音楽が流れる中、若い観客たちの歓声が響きます。3台の大型ビジョンを使う演出もあり、アーティストのライブ会場のようなムードが漂いますが、私は「これはスポーツの熱い戦いだ」と感じました。

12チームがそれぞれ練習で鍛えた技を駆使し、対戦相手と勝敗を決します。チーム対チームの対戦方式なのです。

結果が発表されると、勝利の涙もあれば、敗戦の涙もある。勝者と敗者が抱き合って健闘をたたえ合う、私が常々大切にしている「スポーツマンシップ」にも満ちています。

ルールは簡単です。12チームが総当たり戦を行い、ジャッジの評価によって勝敗を決します。ジャッジには審査員だけでなく、観客も採点に参加できます。スマートフォンにアプリをダウンロードしておけば、無料会員でも1票を投じられます。

私も各対戦に1票ずつを投じました。ダンスの技術は分かりませんが、真剣にステージを見つめ、いずれも甲乙付けがたい対戦の勝者を投票しました。


この日の12ラウンドで、もっとも印象的だったのはavex ROYALBRATS(エイベックスロイヤルブラッツ)でした。

avex ROYALBRATS©D.LEAGUE22-23

avex ROYALBRATS©D.LEAGUE22-23

呼吸の音に合わせた動きは、ダンサーの息づかいが聞こえるようでした。8人のダンスは、まさに息がぴったりに感じました。

最終戦とあり、シーズン1位のCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)が表彰されました。

CyberAgent Legit©D.LEAGUE22-23

CyberAgent Legit©D.LEAGUE22-23

リーダーのTAKUMIが喜びの言葉を述べました。

「ここにいる皆さんとか、画面の向こう側にいる皆さん、自分たちの踊る環境を整えてくださってるサイバーエージェントさん、スポンサーの方々、そして、レジットのスタッフさんとか、本当にたくさんの人のおかげで、僕たちはこの景色を見られていると本当に心から思います。感謝とともに、CS、絶対に勝ちたいなと思います」

CyberAgent Legitのリーダー、TAKUMI©D.LEAGUE22-23

CyberAgent Legitのリーダー、TAKUMI©D.LEAGUE22-23

CSとは4月23日に行われるチャンピオンシップを指します。シーズンの上位6チームが、トーナメント形式で優勝を争うのです。

会場を後にする前、Dリーグの神田勘太朗代表取締役COOにあいさつしました。観戦を堪能したことを伝えると「チャンピオンシップもぜひ来てください」と言われました。

これからDリーグを取材してみようか…プロ野球の担当記者として球団や選手に密着した若い頃のように、各チームやダンサーたちを追いかけていこうか。そんなことを考えました。

編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。