【九州Jクラブ漫遊記〈3〉福岡編】「冨安を何度でも作れる」育成の確立、その次へ

九州育ち、九州在住の記者による「九州Jクラブ漫遊記」。第3回は九州の雄、J1アビスパ福岡のキーパーソンを単独インタビューで直撃しました。ベルギー1部・シントトロイデンCEO(最高責任者)ながら、今年1月から福岡の副社長を兼務する北九州市出身の立石敬之氏(53)。福岡との関わり、100億円クラブの夢、日本代表DF冨安健洋(24=アーセナル)スタイルの育成ルート確立、J30年への思いなど、縦横無尽に語りました。

サッカー

 
 

■23年九州サッカー協会管内のJクラブ■

【J1=2チーム】

サガン鳥栖、アビスパ福岡

【J2=3チーム】

大分トリニータ、V・ファーレン長崎、ロアッソ熊本

【J3=4チーム】

ギラヴァンツ北九州、鹿児島ユナイテッドFC、テゲバジャーロ宮崎、FC琉球

キーパーソン立石敬之副社長インタビュー

6月3日、ベスト電気スタジアムで会見する立石敬之副社長

6月3日、ベスト電気スタジアムで会見する立石敬之副社長

シントトロイデンCEO兼任
岡崎、香川、鈴木、冨安ら移籍実現

シントトロイデンCEOとして、FW岡崎慎司、MF香川真司、MF鈴木優磨、DF冨安らの移籍を実現させてきた立石氏。福岡でも、国内外で積んだフロントとしての手腕を、いかんなく発揮している。

FC東京のジェネラルマネジャー(GM)時代から知り合いだった福岡の経営権を持つ、不動産賃貸仲買業などを営むAPAMAN(株)の大村浩次代表取締役社長との縁が、接点を持つきっかけだった。

「監督を探しているという相談を受け、井原さんを紹介しました。井原さんも指導者経験がなかったので、チャレンジしたいということだったんです」

15年に井原正巳氏の新監督就任に一役買った。さらに、シントトロイデンCEOとして、18年のDF冨安の獲得に関わり、福岡との関係はさらに深まった。

「大村さんから熱心にお誘いいただき、川森社長(現福岡会長)までベルギーに来てくださった。三顧の礼を尽くしていただき、僕も福岡県人として福岡を盛り上げたいと思った」

大村社長から、何度もフロント入りを打診され、クラブ間提携を行った19年に経営顧問に就任した。

そして、エグゼクティブ・アドバイザーを経て今年1月、副社長(執行役員)に就任した。

4月から取締役副社長として、福岡の発展のため、チーム編成、事業の両面で力を注ぐ。拠点のベルギーから、オンラインでコミュニケーションを密にとる。

「(経営会議で)毎週ミーティングを行っている。僕の持つ関係はすべて紹介しているので、それをどう生かすかということ。戦略的には、チームが安定しないと、営業とか育成はプランが描きづらい。大きな事は言わず、まずJ1に定着させることです」

J1定着のため、豊富な人脈を生かして外国人選手獲得などで尽力してきた。

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スポーツ

菊川光一Koichi Kikukawa

Fukuoka

福岡市博多区生まれ。93年入社。所属部署、担当歴は総務、整理、写真、報道、ソフトバンク、Jリーグ、高校野球など。
海外取材歴は写真部時代の00年シドニーパラリンピック、01年マリナーズ・イチローなど。15年九州写真記者協会・プロスポーツ組写真部門賞受賞。
スポーツ歴は野球、陸上中・長距離。大学で九州学生駅伝出場。