【無料会員記事】辰吉寿以輝の現在地〈32〉「勝てたこと以外0点」辛勝に見えた課題

平成のカリスマ、丈一郎(54)を父に持つ辰吉寿以輝(29=大阪帝拳)。

日本初の親子世界王者につながる道を一途に歩みます。

6月7日の再起戦は、3-0の判定勝ちを収めました。フィリピンスーパーバンタム球12位のアリエル・アンティマロ(22)のワイルドなパンチに、序盤は劣勢。

中盤から巻き返して、最終8回にはダウンを奪取。

苦しい試合を立て直して、戦績は17勝(10KO)1敗1分けになりました。

ボクシング




4回、アンティマロ(左)の左アッパーを浴びる

4回、アンティマロ(左)の左アッパーを浴びる

ダウンなければドローの可能性も


際どい試合を乗り越えて、再出発となった。

判定3-0も、ジャッジ2人は77-74、ジャッジ1人は76-75。

8回のダウンがなければ、1人はアンティマロ優勢か、ドローの可能性もあった接戦だった。


寿以輝は、リング上で控えめに喜びを口にした。

「しょうもない試合でしたが、とりあえず勝ててよかった。しっかり勝ってまたやれるんやぞ、ということを証明しようと。今の内容だったら何もいえないので。今年1年ちゃんとしっかりやって来年またタイトルに絡めるようにします」

寿以輝の元ジムメートたちが勝利に、やんやの大騒ぎしていた。

寿以輝はわずかに笑顔を見せたが、満足はしていないことは明らかだった。

リングサイドで観戦した父丈一郎は、いつも以上に辛口だった。


リングサイドから応援する辰吉丈一郎ら

リングサイドから応援する辰吉丈一郎ら

父は言う「サウスポー対策できてない」


元世界王者の父は、試合が終わると、会場の隅に移動して、記者の質問に答えるのが通例だった。

この日も勝利に喜ぶファンたちが向かう会場出口とは、反対側の暗い壁際に向かった。

丈一郎 まあよかったんちゃう。ただまだスタイルはオーソドックスのまま。相手がサウスポーでも、サウスポー対策できてないな。

-痛烈なパンチを何度かもらった。

丈一郎 正面立ちすぎやわ。正面に立つから全部左ストレートをもらう。相手がサウスポーで左ストレートもらうって、ど正面やからな。パンチがラフというか、単純な相手やん。だからちゃんとサウスポー対策ができていれば

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スポーツ

益田一弘Kazuhiro Masuda

Hiroshima

広島市生まれ。2000年の入社からバトル、相撲、サッカー、野球を担当して、13年からオリンピック担当。
14年ソチ、16年リオデジャネイロを取材して、18年平昌、21年東京は五輪班キャップを務める。東京五輪後に一般スポーツデスク。
大学時代はボクシング部で全日本選手権出場も初戦敗退。アマチュア戦績は21勝(17KO)8敗。