ガールズケイリン118期生だった岩原紗也香さん(30)が競輪実況アナの道を歩み始めた。

20年5月にデビューして21年末までの現役生活は、124戦0勝と決して華やかなものではなかった。引退後、どの道に進むかを考えていた時に、小松島競輪の実況アナの茂村華奈さん(55)から「実況アナに挑戦してみないか」と声をかけられた。

ガールズ出身の選手が次の仕事を見つけるのは、なかなか難しいのが現実だ。経験を生かしてCS放送のキャスターに転向する例はあったが、実況アナは初めてだった。


競輪実況アナに転身した元ガールズケイリン選手の岩原紗也香さん
競輪実況アナに転身した元ガールズケイリン選手の岩原紗也香さん

「やると決めて今年の3月から実況の練習を始めました。KEIRIN.JPでは残り2周からの映像しかないので、YouTubeで(動画を)探して朝から晩まで練習しました。きっと日本一、競輪を見た女子です(笑い)」。練習はうそをつかないという言葉があるが、根気強く動画に向かった。

転機はいきなり訪れた。茂村さんらの尽力もあり、関係者に実況デモを聞いてもらい、11月の小松島開催で試験的に起用されることが決まった。「男子の競走規則やレース展開を覚えるのが大変だったけど、実況がファンにちゃんと伝わっているかをすごく意識して担当した」。

仕事ぶりが評価され、12月の試験起用も決まり「将来の夢は、ガールズと師匠の山本宏明さんの引退レースを実況すること」と声を弾ませた。

新しい道に進むパイオニア精神が、現役を引退した選手たちの道標になればいいと思う。