オール大阪2連続優勝を飾った上條暢嵩が年末のSGグランプリ出場を目標に掲げた
オール大阪2連続優勝を飾った上條暢嵩が年末のSGグランプリ出場を目標に掲げた

上條暢嵩(30=大阪)が正月の住之江ボート王将戦を制して、オール大阪2連続優勝を飾った。SGグランプリを制した石野貴之やベテラン松井繁も優出して存在感を示した。また、石本裕武、竹間隆晟も準優へ進出し素質の高さを見せつけた。あらためて大阪支部の層の厚さを感じるとともに、上條の今年の活躍を予感させた大会でもあった。

石野がSGグランプリで優勝した88号機を引き当てた上條は「引いてもた~」と思わず口にした。いわゆる“1億エンジン”を駆ることに重圧を感じた。「正直、壊したらどないしよと思いました」と振り返る。特に前検、初日とそのエンジンのポテンシャルに驚かされた。「あとは天候に合わせるだけ」と確信した。オール2連対で優勝したように88号機のパワーは抜群だった。

それでも、自分と先輩・石野との調整力の差を実感したという。「一番、エンジンの状態が良かったのは初日。石野さんのセッティングは本当にすごかった。こうやってエンジンパワーを引き出すんだと勉強になった」としみじみと言った。優勝したことで、2度もSGグランプリを制した同じ支部の先輩の底力を実感し、自分に課題を突きつけられた気がした。

王将位決定戦(優勝戦)で逃げ切った上條は開口一番に「合ってなかったわ」と首をかしげた。優勝こそしたが、どう調整しても石野が引き出したほどのパワーには戻らなかった。それでも、優勝するには十分な機力はあった。「もっと出せたと思う。88号機の一番いい時に乗っているので、そこまでのパワーを出せなかったのは自分の課題」。優勝したが、先に出てきたのは反省の言葉だった。勝ったのに、あえて課題を挙げて、それを解消しようとする姿勢に感心した。

予選道中で上條の成長を感じることがあった。4日目、予選トップ通過には連勝が条件だった。前半は6枠の5R。展示ではピット離れで飛び出して2コースを奪った。ただ、本番ではピット離れは思ったほど飛ばず5コースとなった。だが、冷静さを保ってコンマ09のトップスタートを決めた。豪快にまくって予選トップ通過を手繰り寄せた。「展示でピット離れが良かっただけ。前付けしたわけではない。5コースでもいいと思っていた。変な焦りはなかった。結果的に、あの勝利は大きかった」と的確な状況判断も光った。

「まだ始まったばかりですが、年末(SGグランプリ)に向けて1走、1走を大切に走っていきたい」と目標を掲げた。2年ぶりのSGグランプリ出場に向け、昨年覇者の“手の内”を知ることができたのは大きい。また、修羅場をくぐって精神面でも成長したことだろう。上條の姿を見て貫禄すら感じた。「最強大阪支部」復活へ、石野の背中を追いかけて頂点を目指してほしい。【奈島宏樹】