6月13日から、ガールズケイリンの新設G1パールカップが大阪・岸和田競輪で3日間、開催される。初日、2日目は東西別で戦い、決勝は東西混合で優勝者を決める。ガールズとしては初の試みに、どんな大会となるか、開催前からわくわくしている。

その前哨戦として5月19~21日まで岸和田F2ガールズが開催されたが、注目の対決があった。久米詩(23=静岡)と坂口楓華(25=京都)の対戦だ。

久米は平塚ガールズケイリンコレクション(ガルコレ)を制して勢いはガールズNO・1と言っていい。一方、坂口も児玉碧衣(28=福岡)が樹立したガールズ記録の34連勝に迫る30連勝で参戦し、3連勝すれば次節で記録更新も見えてくる状況だった。

ともに連勝で勝ち上がった決勝の焦点は、先に動けば目標とされてしまうところ。仕掛けどころと、思い切りがポイントだった。レースは久米が2番手、坂口が4番手。最終ホームで坂口が仕掛けると、バックで久米が番手に入った。坂口が振り切るかと思われたゴール前、久米がわずかに差し切った。

坂口の連勝は32でストップ。勝つには後手に回ってはチャンスが薄れる坂口と、冷静に立ち回った久米との差が出た。

ガルコレを制し勢いに乗る久米詩が、パールカップも注目となる。(撮影・和田年弘)
ガルコレを制し勢いに乗る久米詩が、パールカップも注目となる。(撮影・和田年弘)

久米は当地2回目の出走だった。「パールカップを戦う前に、現地を走れるのは大きいですね」。当地実績の少なさを補うには大きな収穫だった。その後、小倉を完全優勝し、14連勝と勢いに乗っている。

印象的だったのは、予2を終えての囲み取材。決勝へ向けて、「(坂口の連勝を)全力で食い止められるように」と意欲を見せつつも、「私も連勝してるんですけど!」と自身の10連勝(当時)をアピールして笑いを誘った。

連勝記録は途切れたが、坂口楓華はますますパワーアップしてパールカップに参戦する。(撮影・和田年弘)
連勝記録は途切れたが、坂口楓華はますますパワーアップしてパールカップに参戦する。(撮影・和田年弘)

惜しくも連勝が止まった坂口だが、パールカップ制覇へ向けたハードなトレーニングを続ける中での参戦だった。福井での合宿から中1日で、G1高松宮記念杯参加組の男子選手との合宿に参加。近畿のS級S班、脇本雄太(34=福井)や古性優作(32=大阪)らとの練習に、「得るものは多かった」と言う。

高いモチベーションは、周りの活躍を自分のパワーに変えるところにもある。昨年はガールズグランプリを柳原真緒(26=福井)が勝ち、近畿勢として刺激を受けた。あまり意気込みを言葉や表情には出さないタイプだが、常に刺激をパワーに変える姿勢が伝わってくる。連勝が止まったところで、勢いが止まるようには思えない。

5月に岸和田で行われた高松宮記念杯組との合宿で、坂口楓華は大きな手応えを得た。連覇が懸かる古性優作のプリントジャージーでパールカップを見据える。(撮影・和田年弘)
5月に岸和田で行われた高松宮記念杯組との合宿で、坂口楓華は大きな手応えを得た。連覇が懸かる古性優作のプリントジャージーでパールカップを見据える。(撮影・和田年弘)

いよいよパールカップ開幕を迎えるが、坂口の走りに何より注目したい。先の32連勝の始まりは、当地1月の完全Vからだった。岸和田との相性は良く、今回を含めた5場所で15戦9勝、2着5回、3着1回のオール3連対、優勝3回の好相性。パールカップ出場選手の中でも際立つ。連勝中ゆえの重圧がリセットされたことも、考えようによってはプラスになる。頂点まで駆け上がることも夢ではない。

東西実力者の激突で盛り上がり必至だが、前哨戦で連勝ストップと苦杯をなめた坂口を通して、シリーズの行方を見守りたい。【和田年弘】