先日の寛仁親王牌は村上博幸の5年8カ月ぶりのG1優勝で幕を閉じた。優勝インタビューが始まる前から流れていた涙は、この間の苦しさを感じさせた。いくら努力しても、必ず結果が出るわけではない。分からないから人は怠ける。これをやれば絶対というのが分からないから努力は尊いと思う。博幸に限らず一流選手はみんな努力している。その努力が、報われる競輪界の環境であって欲しいと思う。

ヤマコウは賞金争いの渦中にいる郡司浩平の走りに注目
ヤマコウは賞金争いの渦中にいる郡司浩平の走りに注目

台風19号のため寛仁親王牌が1日順延した。その影響で京王閣G3は中2日での開催となる。千葉記念(松戸競輪場で代替開催)から続く選手はハードなスケジュールだ。特選の中では中村浩士だけだが、彼は千葉記念の前にも、新聞社を回ってPRをしていた。私も経験あるが、1社だいたい30分程度×5~6社? を回って、移動はワゴン車。自転車に乗るのが仕事の競輪選手には結構きつい。彼の競輪界に対する尽力には頭が下がる。競輪ファンの声援が後押しとなるか。

その先頭を走る郡司浩平や、別線の平原康多は、GP出場への賞金を上積みしておきたいシリーズだ。平原は以前「賞金争いでプレッシャーを感じることはない。駄目なら来年出場すればいいだけのこと」と意に介していなかった。やはり毎年GPに出て勝ち負けをしている選手は考え方が違うなと感心した。

郡司は一度賞金争い(17年)を経験したことで、プレッシャーで結果は変わるものではないと分かったはずだ。当該選手は大変だと思うが、競輪ファンには楽しみな季節がやってきた。

(日刊スポーツ評論家)