グランプリ(GP)が終わり、興奮冷めやらぬ中、今年のグレード戦線が始まる。競輪選手が心底リラックスできるのは、引退後しかない。

ヤマコウは、GPの怖さを経験した清水裕友の初戦に注目した
ヤマコウは、GPの怖さを経験した清水裕友の初戦に注目した

GPで見せ場なく終わった清水裕友は、今開催は、やる気でみなぎっているだろう。GPは残り2周から脇本雄太を警戒。ただ、前受けの新田祐大も両者の動きを見ていたので、清水は仕掛けをちゅうちょしたまま打鐘を迎えてしまった。「新田さんに合わされるかも」という気持ちが、迷いを生んだと思う。昨年11月の競輪祭決勝での、清水と吉田拓矢の対戦に似ていた。

その決勝。吉田は前受けの清水をたたくつもりだったはずだが、2周前から清水に警戒され、レースを見てしまった。最終的に先行はしたが、レースを支配していたのは清水だ。

GPの清水は、新田に支配されていたと読める。18年静岡GPは、初出場だったので無欲で臨めた。昨年のGPは「優勝したい」という欲が出たため、良さが消えてしまった。これがGPの恐ろしさでもあり、私たちが観戦していて面白いところでもある。

今回の立川G3は、それぞれのテーマが見える。平原康多は競輪祭決勝で清水に競り負けた。その部分では、絶対譲りたくないだろう。郡司浩平もGPで、イチかバチか脇本の3番手から優勝を狙うレースをして失敗。自ら展開を作る必要性を感じただろう。

私は、GPで3着ながら抜群の伸びを見せていた平原が一番優勝に近いと見ているが…。(日刊スポーツ評論家)