【ヤマコウの時は来た!】

◆11R・特選 今年のG1戦線がついに始まった。報道陣もたくさんいて華やかな検車場だったが、ピリッとした感じも漂っていた。

その中で、予備の藤木裕が異様な雰囲気を醸し出していた。紫色の髪であしゅら男爵(マジンガーZ)をほうふつさせるツーブロック。鋭い眼光で人間観察している姿はコンビニでたむろしている不良にしか見えなかった。

少し前置きが長くなったが、今年の清水裕友がどう成長していくか楽しみだ。昨年後半の活躍は誰もが知るところだが、私は不調の芽も出ていると思う。その理由は位置取りにある。昨年ブレークするきっかけは、函館G3の村上義弘との競り合いだった。その後も、私たちの予想をいい意味で裏切る走りを披露して、SS班まで上り詰めた。しかし、近況の清水は定石の走りだ。立川G3を優勝したように勝負強いが、位置取りが甘くなっているのが気になる。

確かに静岡GPでは、いい走りをした。しかし、さかのぼって競輪祭の準決、決勝と平原康多に位置取りで負けている。寛仁親王牌の準決では、平原に位置取りで負けなかった。それがG1初決勝につながった。今と半年前では立場が違うと言われたらそれまでだが、不調に陥る原因は突然来るものではない。積み重ねでやってくると私は思っている。

先行は新山響平、3番手が取れそうなのは三谷竜生とイメージはつくが、清水がどうそれを覆していくのか注目したい。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)