1度は社会人を経験した。今年の福岡フレッシュルーキーに選出された橋本英一(28=福岡)は、23歳の時、転機となる“次の仕事”を探していた。

 「会社の先輩にボート場に連れていってもらって、ボートレースはおもしろそうだなと思いました」

 13年5月のSGオールスター(福岡)。新田雄史がSG初優勝を果たしたレースだった。そこから同じ中学出身、同学年で先にレーサーになっていた楠原翔太に連絡を取った。「最初で落ちたらあきらめようと思っていた」。背水の覚悟で挑んだやまと学校(現ボートレーサー養成所)の入学試験は、一発で合格した。

 入学後は年下と一緒にトレーニングに励んだ。高校まで野球に打ち込んだ自負はあっても苦しかった。

 「久しぶりに体育会のようなものに入って、体力は持ってもメンタルはきつかった」。それでも、橋本には自分を支える“決心”があった。「人生をかけているので、やめられない気持ちの方が強かった」。その気持ちは、デビュー後のレーサー人生の支えにもなっている。

 17年の獲得賞金は687万円。「社会人時代よりはもらっていますね。でもボートレーサーの“うまみ”ということを考えれば、全然ですね」。少しずつ勝率が上がり、稼ぎも増えている。でも、現状には満足していない。「課題しかない」。趣味でもあるサイクリングやジム通いで、体作りも怠りない。ボートレーサーとして成長するために、自分にプラスになることを探りながら土台作りに励んでいる。

 ◆橋本英一(はしもと・ひでかず)1990年(平2)4月4日、福岡県生まれ。116期生として15年5月、福岡でデビュー。164センチ、56キロ。血液型A。

橋本英一(撮影・中牟田康)
橋本英一(撮影・中牟田康)