目指せサトマヤ、益春菜! オートレース33期生の卒業式が3日、選手養成所(茨城県下妻市)で行われ、4年ぶりのデビューとなる女子7人(男子13人)が、先輩選手に並ぶ活躍を誓った。養成所で最速タイの好タイムをたたき出した田崎萌(23=伊勢崎)を筆頭に、金田悠伽(22=浜松)、稲原瑞穗(21=飯塚)らが、トップレーサーを目標に出陣する。33期生を代表して中村杏亮が答辞を述べ「同期全員をライバルとして、自らを奮い立たせ、オート界の新たな力となりたい」と誓った。

 昨年10月に養成所に入った田崎は、9カ月の訓練期間でめきめきと力をつけた。選手資格検定では3秒46の最速タイムタイをマーク。3秒65をクリアできないと選手になれない「最終試験」で、男子の黒川京介、中村杏亮と並ぶ時計をたたき出した。もちろん、女子7人の中では断トツだ。「1つの自信にはなりました」。

 父のひと言が人生を変えた。バイク好きの父が、川口オート場で行われたイベントに参加。自分のバイクで走路を走れる企画で、その時に父の目に入ったのが、33期生の募集だった。オートレースは知らない父が「やってみないか」。勝負好きの性格にぴったりはまった。小学校1年から剣道を始めて3段の腕前。「ずっと戦ってきたので、挑戦しようと思った」と当時を振り返る。

 22歳の決断。バイクに乗ったことさえない女性にとって、養成所の生活は厳しい。「一からの出発ですから、すごく大変だった」。それだけに、日々の成長は実感できた。乗るのはもちろん、整備も。「1つ1つがすべて身になる感じ。達成感はありました」。懸命な努力が実を結び、33期生トップの勲章を手に入れた。

 実際のレース場での走りは経験済み。「走ってみて課題は多いと実感しました」。養成所で学んだことだけでは、レースで好走することは難しいことも知っている。配属先の伊勢崎オート場でのデビューは、4日後の8日。「不安もありますが、楽しみが大きい。モチベーションは上がっています」。バイク未経験者の初陣が楽しみだ。【天野保彦】