ボートレース界の23年SG第2弾、オールスターは28日、最終日が開催される。12Rでは、1着賞金4000万円を懸けて優勝戦が行われる。出場メンバー、枠番は以下の通り。

◆最終日12R・優勝戦◆(28日午後4時40分締め切り予定)

枠 選手名 齢支部

(1)石野 貴之40大阪

(2)浜野谷憲吾49東京

(3)倉持 莉々29東京

(4)深谷 知博35静岡

(5)山田 康二35佐賀

(6)瓜生 正義47福岡

並み居るトップレーサーを相手に、人気女子レーサー倉持莉々(29=東京)が史上5人目の女子SG(スペシャルグレード)優出を果たした。27日に行われた準優10Rは、5コースから差し伸びて快勝した。ファイナルを優勝すれば、昨年3月の大村SGクラシックを制した遠藤エミに続いて、史上2人目の女子SGウイナーが誕生する。そんな倉持は、どんなレーサーなのか。

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倉持は、93年10月1日に3人きょうだいの長女(上に兄、下に弟)として、茨城県土浦市に生まれた。

ボートレースとの出会いは小学生の頃にさかのぼる。父と一緒に戸田ボートへ行った時に「こんなかっこいいスポーツがあるんだ」と衝撃を受けて、その瞬間からレーサーを志した。

学生時代は水球に熱中。高校(秀明英光高)2年の時に日本代表の「ポセイドンジャパン」に選出されて、ロンドン五輪の予選にも出場した。

高校卒業後に、111期生としてやまと学校(現・ボートレーサー養成所)に合格。夢への第1歩を記そうとした直前に、病魔が彼女を襲った。「ホジキンリンパ腫」。血液のがんだ。生命にもかかわる大病だけに、絶望感にさいなまれたことは想像に難くない。しかし、「レーサーになる」という強い信念にぶれは全くなし。自身の頑張りはもとより、家族の支えもあって克服。114期生として13年4月にやまと学校へ入学。1年間の養成期間を終えて、14年5月に念願のプロデビューを果たした。

同期の中村桃佳(30=香川)が早くから脚光を浴びる一方で、当初は全く目立たず。初勝利まで約1年3カ月と時間を費やしたものの、まさに不屈の精神で努力を積み重ねて、4年後のデビュー8期目に初A級へ昇格。15期目で初のA1級にランクインと実力を身に付けて、23年前期(昨年5月1日~同10月31日の期間で選考)には女子NO・1の勝率7・44をマーク。名実ともに女子トップレーサーの仲間入り。そんな倉持を師匠の飯山泰(45=東京)は「レースに華があるし、すごく頑張ってますね」と賛辞を送った。また、現在放映されているボートレース2023年CMシリーズ「アイアム ボートレーサー」第5話、「豪快なオウリン篇」のモデルとしても知られている。

レースを離れると、いたって普通の女子。本人は「陰キャ」と口にするが、お酒が好きで話し好き。周囲は常に笑いが絶えない。趣味は料理。その腕前は女子レーサーでも1、2を誇ると評判を呼んでいる。得意メニューはギョーザと春巻き。包んだり巻いたりするのが好きで、「おいしい」と言ってもらえることに喜びを感じているそうだ。

SGは昨年のオールスター(宮島)に続いて、2度目の出場。昨年は初めてということもあって不安だらけ。レース前日には「行きたくないよ」と弱音をこぼすほどだったが、そこでの経験値が糧となり、1年で心身ともにすっかりたくましくなった。そして今回、女子では5人目となるSG優出を決めた。

とてつもない大舞台で、緊張感が半端じゃないのは容易に察しが付く。しかし、同期の中村をはじめ、今回出場している女子レーサーらが、陰となりひなたとなり支えてくれるはず。のしかかる重圧をはねのけて、女子では2人目となるSG優勝、シンデレラストーリーをぜひとも作り上げてほしい。