W杯ロシア大会以来約9カ月ぶりに日本代表復帰したトルコ1部ベシクタシュのMF香川真司が、30歳の誕生日を迎えた17日、成田空港着の航空機で帰国した。

16日は本拠ギョズテペ戦で移籍後2度目の先発。後半45分まで出場し、1-0の2連勝に貢献した。フル出場に近いプレー時間で左鼠径(そけい)部の負傷も問題なし。「楽しみ」と語った30代の第1歩を、18日の代表合宿初日から踏む。

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代表戦ではW杯後の昨年7月以来となる香川の帰国に、同空港は騒然とした。米メジャーリーグ開幕戦の応援団を乗せた米国機とも時間帯が重なり、到着ロビーで一時、立ち往生。その中で30歳の誕生日について「男は30から?」と聞かれると「ここからでしょ。楽しみです」と笑顔で語った。

上り調子で代表に返り咲く。20代ラストマッチのギョズテペ戦はトップ下で先発。2戦連発こそ逃したものの、18-19年シーズン最長の後半45分までピッチに立った。「正直(体力的に)きてました」と笑いつつ「90分近く出られたことは非常に良かった」。日本代表の森保監督にとっても自身にとっても収穫だった。

ロシア以来の代表については「フレッシュ。個人的にはまた新たなスタート。また競争が始まる」と新たな思いを口にした。一方、今回の招集メンバーで国際Aマッチ最多出場(95試合)の立場も自覚する。主将の吉田や長友ら主力の招集見送りに「(吉田)麻也もいないんで、責任を感じている」。ほかの22人の国際Aマッチ出場が平均14試合と浅い中、引っ張る決意を持って日本に降り立った。

代表から離れていた間に頭角を現したのが、中島、南野、堂安。三銃士の突き上げを「歓迎」と受け止めた上で「もっと刺激を与えていかなければ。レベルの高い競争が生まれてこなければ成長はないし、欧州には到底、追いつけない」。W杯16強の日本をさらなる高みへ導くため、簡単に定位置を渡す気はない。帰国便の中で30歳になった香川が背中で示す。【木下淳】

○…日本代表の森保一監督がFC東京-名古屋グランパス戦を視察後、W杯後初招集した香川に言及した。この日30歳の誕生日を迎えて帰国したMFに対し「長く日本代表を引っ張ってきた選手には、経験を若い選手に伝えてほしい」とあらためて期待。「言葉だけでなく背中でもプレーでも引っ張ってほしいし、自分も監督として歴史をつなぐ仕事をしていきたい」と融合を意識した。