【釜山(韓国)=松尾幸之介】なでしこジャパン(FIFAランク10位)が台湾(同40位)を9-0で下し、大勝発進した。

FW岩渕真奈(26)が10年2月の代表デビュー以来68試合目で初の主将を務め、2ゴール1アシストで勝利に貢献した。9点差以上での勝利は14年9月26日のアジア大会準々決勝香港戦(9○0)以来。10年以来4大会ぶりの優勝へ最高のスタートを切った。次戦は14日に中国(同16位)と対戦する。

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慣れないマークを左腕に巻き、岩渕がその覚悟をプレーで示した。前半7分、ゴール前でボールを持つと、DF3人を次々とかわし、右足でゴール左に沈めた。14年9月26日のアジア大会準々決勝香港戦以来となる9得点の大勝劇の号砲をならす1発。「自分の気持ちが乗っていた。(キャプテンマークを巻くことで)力を得られた部分もあると思う」と振り返った。

高倉体制で主将を務めてきたDF熊谷不在の中で回ってきた大役。そんな“岩渕キャプテン”の姿に触発されるようにチームは前半だけで5得点。岩渕は後半25分にも1点を挙げる1アシスト2得点の活躍で初めて主将となった一戦を締めた。

チームを引っ張る気持ちは徐々に芽生えていた。11年W杯ドイツ大会や15年同カナダ大会は最年少で出場したが今回は23人中、上から3番目の年齢に。「(主将を)思っていないわけじゃなかった」。試合前日に指揮官から告げられると、かつて代表で主将を務めた元日本代表MF澤や宮間にも連絡し、激励された。後半開始前の円陣での声かけではチームメートとうまくかみ合わずにやり直す場面も。「今までの選手たちの気持ちを背負ってしっかりとやりたい」。自覚十分のリーダーに成長した岩渕が、チームを優勝へと導いていく。

○…代表経験の浅い新戦力たちも東京オリンピック(五輪)生き残りへ猛アピールした。DF清家とMF栗島が代表初出場を果たし、清家は後半21分に初得点。代表キャップ1桁台のMF松原、途中出場のFW池尻も初得点を挙げるなど存在感をみせた。MF栗島は「これだけ点が入ったので、自分もとりたかった。残り2戦に切り替えていきたい」。五輪登録枠は18人。その競争が激しさを増してきた。