オランダ1部リーグが12日(日本時間13日)に開幕し、東京オリンピック(五輪)世代のU-23日本代表主将DF中山雄太(23=ズウォレ)はフェイエノールトとの開幕戦に臨む。

プレシーズンを終えて日刊スポーツの取材に応じ、オランダ3季目にかける覚悟と今季のフィナーレとなる東京五輪への思いを明かした。

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オランダに渡って約1年半、東京五輪世代を率いる主将中山は、充実のシーズンを迎えようとしている。

昨季はボランチ、センターバック、サイドバックとポジションを変えながら、26試合中14試合に出場。森保監督が五輪世代に求める「ポリバレントさ」を体現したが、その器用さが裏目に出て、定位置をつかみきれなかった。

チームは今季新たに4-1-4-1のフォーメーションを採用した。プレシーズンで中山はDFではなく、アンカー(ワンボランチ)でほぼ全ての試合に出場した。アンカーの経験はあまりないが、徐々に手応えを深めている。

「チームでは『コントローラー』と言われるポジション。指示役、かじ役として意識してやっている。自分のストロングが出せるのは中盤だと、今までも発言してきた。そのポジションで監督に期待されているのは、もう楽しみでしかない。後ろでやっているときよりプレーのイメージが湧く」。

言葉の壁があっても、持ち味は常にアピールしてきた。当初は苦労したが、語学の成長もあいまって、思いが伝えられるようになってきた。

「『ボランチの選手だ』と言い続けてきた。最初はダイレクトには伝わっていなかったと思う。だからこそ、口ではなくプレーで証明するという思いが強くなった。現実に影響したかは分からないけど、それが実って、やっとスタートラインに立てた感覚。ボランチでやるという面では、ここからがスタート」。

新型コロナウイルスの影響で、昨季のリーグ戦は8節を残して打ち切られた。フィジカルより頭脳でプレーするイメージが強いが、チームの練習がなくなり自宅で過ごす時間の中で、あらためて理想の選手像を見つめ直した。

「今までの自分のスタイルを少し壊しつつ、新しい中山雄太を再構築していきたい。そういう意味でチャレンジの年にしたい。日本でイメージされているプレースタイルから『何か変わったな』と思われたら、自分が言ったことを体現できていると思う。東京五輪が開催されたら(日本で)披露できる。そこで『変わったな』と思われるようにできれば」。

3月に決まった東京五輪の延期は、「準備期間を得られたと、ポジティブにとらえられた」という。「チームとしてやらなければいけないことは、だいぶ前から明確に整理されていた。今は1人1人が自分自身にフォーカスできる状態。次もし活動が行われたら、やることは明確。それまでに個々がレベルアップしていることが、今できる最善のこと」。チャレンジと位置づけたシーズンで結果を残し、集大成を、東京五輪で見せつける。【取材・構成=杉山理紗】

◆中山雄太(なかやま・ゆうた)1997年(平9)2月16日生まれ、茨城県出身。柏ユース時代にJリーグの公式戦出場が可能な2種登録選手としてトップチーム入り。15年6月23日のG大阪戦でJ1初出場。17年のU-20W杯では、センターバックとしてA代表に定着したDF冨安とともに全試合にフル出場し、16強進出に貢献。19年1月にオランダ1部ズウォレに移籍、同年6月17日の南米選手権チリ戦でA代表デビュー。181センチ、76キロ。利き足は左。