11月20日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会に向けた強化試合で、日本代表(FIFAランク24位)が米国代表(同14位)に2-0で快勝した。攻撃の要となるトップ下で起用されたMF鎌田大地が、森保一監督の期待に応える先制点。途中出場のMF三笘薫も加点した。

同じくW杯出場の実力国を相手に本番モードとなった一戦。森保監督は攻撃の幅を広げる意味で、アジア最終予選を戦った4-3-3でなく、トップ下を置く4-2-3-1を選択。欧州チャンピオンズリーグ(CL)を舞台にフランクフルトで攻撃の中心となっている鎌田や、新天地レアル・ソシエダードで輝きを取り戻した久保建英を先発に抜てきした。

メンバーはGK権田修一、DFは左から中山雄太、冨安健洋、吉田麻也、酒井宏樹。ボランチに守田英正と遠藤航、攻撃的MFは左から久保、鎌田、伊東純也が並び、1トップに前田大然。W杯で着用する「折り鶴」をデザインした新ユニホームで初めて臨んだ。

序盤から期待の2列目が躍動した。まず伊東がファーストシュートを放った。前半13分には、久保のパスから鎌田が右足で決定的なシュートを放ったがGKターナーのファインセーブに遭った。

そして待望の瞬間は前半25分。流れるような連係から最後は守田からゴール前左でパスを受けた鎌田が、正確なワンタッチシュートでゴールネットを揺らした。副審はオフサイドの旗を揚げたものの、VAR判定によりオンサイドと認定。日本が先制した。

日本の平均年齢は27・2歳。対する米国は24・2歳という若いチーム。ただチェルシー所属のFWプリシッチがベンチ外になるなど、ケガで主力を欠いていた。日本は後半開始から権田に代えてシュミット・ダニエル、酒井に代えて伊藤洋輝、前田に代えて町野修斗を投入。また、後半途中から伊東と久保を下げて堂安律、三笘が入った。それぞれが積極的に持ち味を出し、アピール合戦となった。その三笘は後半43分に左サイドから得意のドリブル突破から、鮮やかなゴールを奪った。これで日本は2-0とした。

今回の遠征はW杯のメンバー決定前最後の活動。W杯登録26人入りはもちろん、ポジション争いは激化している。そんな中でも、この日最も輝いたのは鎌田だった。

鎌田は後半20分にも、久保のパスを受けるとDFを外し、右足で鮮やかなシュート。GKの好セーブでゴールはならなかったが、その存在感は別格といっていい。後半41分に原口元気との交代でベンチに下がったが、攻撃の要として君臨した。

また、チームとしても大きな収穫を得た。6月シリーズでチュニジアに0-3と完敗し、三笘薫の「チームとして決まり事を持たないといけない」という発言が反響を呼んだ。

W杯で対戦するドイツ、コスタリカ、スペインという強豪国を想定し、「共通認識」を擦り合わせることも大事なテーマ。そんな中、最前線の前田が俊足を生かして前からボールを追い回せば、連動する中盤がインターセプトに次々と成功。狙い通りの「いい守備からいい攻撃へ」が形となり、ゴールも生まれた。

日本は27日にも同じ会場で、W杯出場国のエクアドル代表(同44位)と対戦する。