国際サッカー連盟(FIFA)は8日(日本時間9日)、7月20日に開幕する女子のFIFAワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド共催大会で、初めて選手に出場給を支払うと発表した。

各国・地域の代表メンバーに選出された上、大会開幕を迎えた時点で登録の全23選手に3万ドル(約405万円)ずつ支給される。金額は勝ち上がりに応じて変わり、優勝チームの場合は1人当たり27万ドル(3645万円)まで増額される。

▼1次リーグ 3万ドル(405万円)

▼決勝トーナメント1回戦 6万ドル(810万円)

▼準々決勝 9万ドル(1215万円)

▼4位 16万5000ドル(2227万5000円)

▼3位 18万ドル(2430万円)

▼準優勝 19万5000ドル(2632万5000円)

▼優勝 27万ドル(3645万円)

出場チームが前回19年フランス大会の24から32に増えた中、これまでなかったプレーヤーへの分配金を新設。FIFAのジャンニ・インファンティノ会長(53)は「この前例のない分配モデルの下、今夏の女子W杯に出場する選手たちはトーナメントを勝ち進むにつれ、努力に対する報酬を完全に享受できるようになりました。8月20日にシドニーで行われる決勝で、優勝杯を掲げる主将と22人のチームメートは27万ドルを手にすることができます」と自負した。

続けて「世界的に、女子プロサッカー選手の年俸は1万4000ドル(189万円)とされています。しかし、この新たな分配方式で得られる出場給が、選手たちの人生やキャリアに現実的かつ有意義な影響を与えることでしょう」と力を込めた。

額面通りなら、出場するだけで平均年俸の2倍以上を臨時収入として受け取れる算段となる。

また、従来通り各国・地域の協会に対しても賞金が用意される。こちらも勝ち上がりに応じて増え、その幅は1次リーグの156万ドル(2億1060万円)から優勝の429万ドル(5億7915万円)まで。インファンティノ会長は「加盟協会が自国に再投資し、それが女子サッカーのさらなる発展につながると信じています」とコメントした。

当然、収益に対して分配金が決まるため、まだまだ女子と男子とでは大きな差がある。昨冬のW杯カタール大会の男子優勝チームには4200万ドル(当時のレートで58億8000万円)が贈られ、決勝トーナメント1回戦でクロアチアに敗退した日本に対しては1300万ドル(同18億200万円)が支払われた。

その中でFIFA側は、初めて選手個人に対する報酬支給を整備したことに胸を張り「ジェンダー平等への大きな1歩だ」と強調している。