中畑の奮起に期待!開き直りの気持ちと笑顔を大切に
トヨタ自動車に連敗を喫した富士通が3位に転落しました。トヨタ自動車との第2戦を見て、名木がゲームを作り、三谷、船引といったベテランが気を吐いていましたが、今シーズン売出し中の中畑の元気の無さが気になりました。
岡里監督は中畑に対し、少しぐらいのミスには目をつぶり、思い切ったプレーをしてほしいという気持ちでスタメン起用を続けているようです。ところが現在の中畑は頭の中でいろいろなことを考えすぎて、気持ちが空回りしています。
私自身のことを思い起こすとポイントガードとして心がけていたことは「ミスをしない」「常に笑顔」「ここぞという時に仕事をする」の3点でした。ミスはどのポジションでも許されることではありませんが、ガードのミスはゲームの流れを左右することが多く、特に許されないと思っていました。また笑顔に関しては、司令塔が苦しい顔や不安な顔をしていたらチームメートも不安になると思ったので、ゲームの流れが相手チームにある時や、苦戦している場面こそ笑顔を忘れないようにしました。そして気持ちの面でもプレーの面でもガードは相手に対して常に先手先手でいけるのがベストと考え、ここぞという時に自分で仕掛けてパスを出したりシュートを打つようにしました。
私は中学時代から今まで身長がほとんど伸びていませんが、チーム事情から中学ではセンター、高校ではフォワード(といってもほとんどオールラウンダー)でした。実はポイントガードをすることになったのはシャンソン化粧品に入ってからなのです。そのため、当時の中川監督(現日本代表監督)には、いつもと言っていいほど怒鳴られていましたが、私がミスをしても辛抱強く起用を続けていただいたお陰で経験を積むことができたと思っています。もちろん怒られてへこむ事があっても、ゲームでは笑顔を忘れまいとしていたことも確かです。
今の富士通のメンバーを考えると中畑と同ポジションにはベテランの立川が控えています。先日のトヨタ戦でも、動きの悪かった中畑に代わって、気持ちが前面に出たプレーでチームをけん引しました。岡里監督も単に勝ちたいなら立川をスタメンで起用する手もあります。しかし前述したように、チームを成長させながら勝ちたいと考えるからこそ、中畑の奮起に期待してスタメン起用を続けているはずです。
私の経験から中畑にアドバイスしたいことは「開き直りの気持ちと笑顔」です。まだ若いのですから、失敗してしまっても、時には「まぁ~いっか!」なんて笑っている姿を見たいものです(実はこれがとても難しいことなのですが…)。そして気持ちの上でも、プレーの上でも「シンプル」を心がけることも必要です。次戦のシャンソン化粧品、その次のJOMOと難敵相手の試合が続きます。今こそ開き直って、とにかくがむしゃらにトライする姿を期待しています。
- 村上睦子(むらかみ・ちかこ)
- 1970年生まれ。愛知県常滑市出身。現姓・岩屋。星城高卒業後、89年にシャンソン化粧品女子バスケットボール部に入部。165センチの身長ながら的確なパスワークと突破力を武器にポイントガードとして活躍した。シャンソン化粧品の10連覇のうち90-91年シーズンから98-99年シーズンの9回の優勝に貢献。その間、新人賞、3回のMVP、7回のベスト5を受賞した。日本代表では92年、98年の世界選手権、96年のアトランタ五輪に出場。アトランタ五輪では7位入賞を果たし、97年には米女子プロバスケットボールリーグ(WNBA)ニューヨーク・リバティのトライアウトにも挑戦した。99年のシドニー五輪アジア予選を最後に現役を引退。現在は子供たちを対象にしたバスケットボール教室などを行っている。