<第90回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間108キロ)

 3強の一角は崩した。学生最強1区のエース大迫傑(4年)が5位と遅れ、山登りのスペシャリスト山本(3年)は左アキレスけん痛のため欠場。それでも日体大を上回る3位に入った。早大の渡辺監督は「5番以内ならと方向転換したが、3位で来てくれて良かった」と胸の内を明かした。

 「15キロ以降はどうなるか分からない」。レース前、1区のエース大迫は不安を伝えていた。この素直さがチームを救った。言葉通り、18キロで先頭集団から落ちたが、動揺は生まれなかった。2区高田(2年)は「冷静に走れた」と区間賞。勢いをつけた。「自分がダメでもチームが頑張ってくれるのは心強い。それはそれなりの良さがある」。大迫は感謝した。

 入学時から世界に目を向けてきた大迫。今年度は米国に留学して、大学で仲間と走る機会は少なかった。それでも、月間の最低走行距離を定め、毎月1度は全体ミーティングを実施。改革を行ってきた。高田は「勝つために何をしないといけないか、一番分かっている人。世界を目指す選手がもがいていた。ああいう姿を見ると、くるものがある。それがあったからこそ、今のチームがあると思う」。

 大迫の遅れは後輩たちが盛り返した。渡辺監督は「復路は全部、3年生以下で行く」と明言した。最後の箱根でエースが残したものを、つなげていくために。【今村健人】