全日本実業団対抗女子駅伝は12月13日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。デンソーは2005年の三井住友海上以来10年ぶりとなる3連覇に挑戦する。

 昨年、エース区間の3区(10・9キロ)で区間新の快走を見せてV2の立役者となった高島由香(27)は、今夏の北京世界陸上1万メートルにも出場。結果は20位だったが、レースでは世界の強豪を相手に臆せず先頭を走った。今年も狙うのは3区区間賞。「エースがそろって出場する区間。そこで勝つことに意味があるし、区間賞を取ればチームも勝てると思う」と意気込む。

 後半の長距離区間である5区(10・0キロ)は今年も水口侑子(30)の出場が有力だ。スタミナ型で8月の北海道マラソンでは3位。その練習過程で出た1万メートルでは自己記録に迫るなど安定感は健在だ。

 マイナス要素は2年前に1区、前回はアンカーを務めた石橋麻衣(26)が故障で欠場すること。その分を1区候補の光延友希(23)と2区候補の小泉直子(22)の同学年コンビがカバーする。光延は7月のホクレンディスタンス網走大会1万メートルで31分56秒92をマークしてリオ五輪標準記録を突破。代表を狙うレベルに成長してきた。小泉は2区で2年前は区間賞、昨年も区間2位でチームの順位を上げている。今回は2区までにトップに立つレース展開を目指す。

 今季、高島から主将を引き継いだ小泉は公の場で「3連勝が目標」と言い続けている。「でも3連覇を意識しすぎず自分たちの走りをしたい。去年の連覇も1人1人の良さを出した結果です。ただキャプテンとして言ったからにはやります」と有言実行をもくろむ。

 世界陸上から帰国した高島はチームの練習に合流し「去年よりも練習の雰囲気が良くなっている」と実感した。チームを率いる若松誠監督(43)は目標設定を上手くコントロールし、選手のモチベーションを上げることに成功している指導者だ。高島は今年の日本選手権では、優勝して世界陸上代表を決めるつもりでいたが2位に敗れて悔しさを募らせた。しかし自分以上に若松監督が悔しがり、涙すら流していることに感銘を受けた。「駅伝で3連覇をして若松さんに嬉し涙を流してもらえたら」。師弟の思いの強さが、師走のみちのくで快走を生むはずだ。