8年ぶり7度目の優勝に挑む駒大が「欽ちゃんパワー」で往路3位まで巻き返した。1区で13位と出遅れたが、2区で7人抜きした工藤有生(なおき、2年)が、昨年4月に駒大へ入学したタレント萩本欽一(74)の激励を受けた。ゴール後は、しりとりなどユニーク法で盛り上げられ、5区大塚祥平(3年)らの快走につなげた。

 駒大が“欽ちゃん走り”で箱根路を駆け抜けた。鶴見中継所を13番手でタスキを受けた2区工藤が、区間4位の走りで6位まで押し上げた。驚いたのはゴールした戸塚中継所の先だった。昨年4月に駒大に入学した萩本欽一の姿が飛び込んできた。工藤は「ゴールに来てくれると聞いていたが、本当に来て応援してくれてうれしかった。欽ちゃんの存在が、自分もそうだし、みんなのパワーになりました」と感謝した。

 いきなり「工藤ちゃ~ん、やった~」と抱擁された。その後が思いも寄らぬ奇襲? 「しりとりしよう、ハイどうぞ」。目を丸くする工藤は思わず「タスキ」とポツリ…。「欽ちゃん!」と叫んだ萩本はニヤリとしながら「って言ったら負けちゃうから」と訂正し「絆」。工藤も「仲間!」と応戦。「いいこと言うね~」と降参し「先輩、ありがとうございました」と深々と頭を下げる萩本に対し、工藤も同じ角度で礼。「先輩なんだから、そんなことをしなくていいんだよ~」。和やかな雰囲気が、チームの背中を押した。

 入学式で大八木監督と萩本が意気投合したことがきっかけだった。昨年10月には活躍の仕方やインタビューの受け方の“講義”も受けた。12月の激励会でも交流。工藤とは学生食堂で一緒になった縁から学友に。萩本も「いいところ(順位)で渡せて良かった。仲間だからね」と笑顔だった。

 昨年は優勝候補大本命ながら、トップを走っていた5区馬場が低体温症で大ブレーキのアクシデントに見舞われた。今回は復路でエントリーされる見込み。1区を走った其田主将は「去年悔しい思いをしたぶん、挽回するチャンス。ここでしっかりとした走りをしてほしい」。5区で3位に順位を上げた大塚も「力まずに4年生中心に復路で1位」と期待した。

 工藤は「期待に応えるのは総合優勝しかない」。首位の青学大とは5分20秒の大差だが「どこまでやるの~」と他校に言わせるまで、走りを加速させる。「欽ちゃんファミリー」は8年ぶりの栄冠をまだ諦めてはいない。【鎌田直秀】