世界選手権(ロンドン)で9位に終わり、日本代表から引退の意向を示した川内優輝(30=埼玉県庁)が、20年東京五輪のホープの壁となる。9日、帰国した川内は12月の福岡国際に出場予定と明かし「代表以外にも追いかけてきた2時間7分台を目指したい」と意気軒高。その舞台に4月のボストンマラソン3位で、日本人としては87年優勝の瀬古利彦以来の表彰台に立った大迫傑(26=ナイキ・オレゴンプロジェクト)が、国内初マラソンとして参戦する意向を固めたことが9日、分かった。

 福岡国際では日本人3位以内2時間11分、同6位以内2時間10分を切れば、東京五輪代表3人中2人を決める「グランドチャンピオンレース」(19年9月以降)の出場権を獲得できる。川内は東京五輪に挑戦するつもりはないが、日本の躍進のために可能な限りサポートしていく意向で、3000メートル、5000メートル日本記録保持者の大迫ら東京五輪マラソン代表を狙う選手に力を示し、奮起を促す絶好の機会となりそうだ。

 帰国した羽田空港では会見冒頭で、95年以来11大会ぶりに男女マラソンが入賞なしに終わったことに「申し訳ありません」と頭を下げた。だが、暗さはない。「ぼくのノウハウなんて聞きたい選手はいないと思いますけど」としつつ、日本陸連と協力し、世界で活躍するための「戦術ノウハウ本」の出版プランも披露。「明日から仕事。しばらくほっといてください」と明るく言い、帰途に就いた。