女子1500メートル日本記録保持者の田中希実(21=豊田自動織機TC)が初優勝を飾り、「結果を出せて良かった」。安堵(あんど)の表情を浮かべた。

1周目の400メートルは3番手あたりで様子をうかがい、2周目の途中、残り900メートル付近からスピードを上げて先頭へ。みるみる後続との差を広げ、独走態勢を築いた。これまでは残り300メートル付近でスパートに入ることが多かったが「自分の持ちタイムからするとずるい感じ。堂々とした走りで勝ちたかった」。早めの仕掛けで、圧倒的な強さを誇示。4分10秒21のタイムで2位以下を5秒以上突き放した。

父・健智(かつとし)さんが指導する所属先で練習を重ねる同志社大3年生。この日は800メートルの予選にも出場して全体トップの好タイムで翌日の決勝に進んだ。1500メートル決勝までの待機時間には、オンラインで大学の講義を受講。「メモを取って手を動かすことで、1500メートル決勝の不安を忘れられた」とほほ笑む。

3日の800メートル決勝で2冠に挑む。今夏3000メートルで18年ぶり、1500メートルで14年ぶりに日本記録を塗り替えた21歳は「1500よりも混戦になると思う。駆け引きを楽しみたい」と意気込んだ。