世界陸連のセバスチャン・コー会長(64)が8日、国立競技場(東京・新宿区)を視察後、将来的な世界選手権の開催を熱望したことを受け、日本陸連には衝撃が駆け巡った。

世界選手権の開催地は立候補制で、その中から世界陸連が選ぶのが通常だが、今回は異例と言える“逆指名”。コロナ禍で苦しい財務状況でもある中、まさかの展開に、日本陸連の幹部は「ちょっと、どういうお考えなのかは分からない。我々もどう受け止めていいのか…。まずはオリンピックが無事に開催されるのを祈るだけ」。そう電撃的なコー発言に驚きを隠せなかった。立候補の検討については「そういう段階ではないので、コメントできない」とした。

ただ、世界選手権の開催が実現すれば、国立競技場のトラック存続に大きな後押しとなる。コー会長は東京五輪・パラリンピック後に撤去予定のサブトラックの維持も希望した。麻場一徳強化委員長は「国立で陸上を継続できるのは、我々にとって悲願でもある。ただ東京五輪のサブトラックが、その後も残るのは現実的ではない気がするが…」と話した。

世界選手権は22年は米ユージン、23年はブダペストでの開催が決まっている。25年以降は未定。

この日、コー会長は国立競技場を視察した後に「世界選手権を日本に持ってきたい。できれば国立競技場で開催したいと思っている」と言及した。また重ねて、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長との会談でも、東京で世界選手権を開催したい意向を示した。