今季女子1500メートル、3000メートルの日本記録を樹立した田中希実(21=豊田自動織機TC)が無類のタフネスぶりを示した。ゴールで転倒しながら、優勝した木南道孝記念800メートルから中2日。1500メートルに出場し、4分10秒41でトップだった。

3日前の激走の疲労が「あまり抜けていない状態」の中、日本歴代7位のタイムを上回る好走。自身の日本記録には約5秒差も、地力の高さを示した。後半の楽なペースアップを意識し、「うまくまとめられた」と振り返った。

これで10月は、7レース目となる。

1日 日本選手権1500メートル予選

2日 日本選手権1500メートル決勝&800メートル予選

3日 日本選手権800メートル決勝

11日 5000メートルナイタートライアル・イン屋島5000メートル

24日 木南道孝記念800メートル

27日 東京陸協ミドルディスタンス・チャレンジ1500メートル

試合に多く出る意図は? そう聞いてみると、その答えに強さの秘訣(ひけつ)が詰まっていた。

「練習もレースと同じくらい追い込んでいる。同じくらい集中もしている。あまりレースと練習の境目がない。レースは移動があるという部分が違うだけ」

一般的にレースは、練習以上の強度が伴い、体の負担も大きい。だが、その通説は、レースと同等の練習を消化する田中には当てはまらない。他の人には特訓も、田中にとっては日常。急成長の背景にある理由は、実にシンプルだ。

来月3日にもデンカアスレチックスチャレンジカップ(新潟)5000メートルに出場する。「ハイペースな入りを1度経験して、それに耐えうる練習になれば」と言う。

12月4日の日本選手権(大阪)5000メートルを制すれば、東京オリンピック(五輪)代表に決まる。同志社大3年生のホープは「今年は中距離で記録を出せている。五輪の種目である5000メートルでもしっかり結果を出し、強さを見せられるようにしたい」。

5000メートルは広中璃梨佳(19=日本郵政グループ)が先月、自身の自己ベストを0秒64上回る日本歴代3位の14分59秒37を出した。「広中さんに勝つことを意識したら、自然とタイムは付いてくるのかなと思う」。

1学年下の「いいライバル」と切磋琢磨(せっさたくま)は、3つ目の日本新の実現性を高めていく。【上田悠太】