2年ぶり3度目の優勝を果たした富士通は、16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)男子3000メートル障害代表の塩尻和也(23)がアンカー7区(12・6キロ)で区間賞の快走だった。

優勝争いは一騎打ち。3秒差でGMO倉田に追われる展開で、タスキを受け取った。並走が続いたが、軽やかなリズムで、中盤から引き離していった。徐々に倉田の姿は小さくなっていった。タイムは35分53秒。26秒差を付けて、優勝テープを切った。

「アンカーの仕事ができてよかった」。男子3000メートル障害で、昨秋の世界選手権(ドーハ)の代表権を得るも、右膝を痛め、欠場を強いられた。昨年の東日本実業団対抗駅伝はメンバー外で、チームは元日の全日本実業団対抗駅伝の切符を逃した。戦力となれず「迷惑をかけた」と感じていただけに、安堵(あんど)の表情だった。

右膝は手術を受けていた。レースに復帰したのは、今夏から。男子3000メートル障害に出場する12月4日の日本選手権(大阪)を前に、万全を印象づける結果にもなった。

その日本選手権は参加標準記録8分22秒00を切るタイムで優勝すれば、東京五輪の代表に決まる。最大のライバルは、母校である順大の三浦龍司(1年)だ。7月には日本歴代2位の8分19秒37をマーク。ロードレースでも力を存分に発揮し、10月の箱根駅伝予選会ではハーフマラソンU20日本最高記録、今月1日の全日本大学駅伝では1区の区間記録を18秒塗り替えた。

自己ベストが8分27秒25の塩尻は「挑戦者として挑む。高校記録を出した彼は、大学入学前から知っていた。(入学後に)あのようなタイムを出して驚きもあったが、現状は同じ種目を走るライバル。後輩だとか、年下だとかは、気にしない。ベストタイムは負けているが、日本選手権では勝てれば」と語った。