樋口新葉(16=東京・日本橋女学館高)は「ジェット新葉」の異名を持つ。9月のロンバルディア杯で自己ベストの217・63点を記録。昨季世界選手権銅メダル相当の高得点だった。それでも「ショートプログラム(SP)は最低で75点まで、フリーは145点を超えられるようにしたい。やっぱり採点競技なので、点数はすごく気になる」と合計220点への意欲を口にする。

 悔しさが原動力だ。昨年2月の4大陸選手権9位。優勝は1学年上の三原舞依だった。「同世代の三原さんが優勝したのが自分の中ですごく悔しくて」。4月の国別対抗戦はSP、フリーでノーミスも、ともに得点は三原が上だった。「自分の最高の演技ができたのにそれでも勝てなかった」。ソチ五輪から10カ月後の14年12月、13歳で全日本選手権3位。当時16歳だった現エース宮原よりもさらに若く「平昌五輪の星」と注目を集めた。同世代に後れを取るわけにいかない。

 最大の武器は、日本スケート連盟の小林芳子強化部長が「スケート靴にジェット噴射がついているみたい」と評したスピードだ。ルッツ-トーループの連続3回転が得意技。さらに練習では3回転半ジャンプにも着氷。岡島コーチは「今季中に3回転半が入れられるようになったら」と、大技の投入も視野に入れる。

 3歳で競技を始めて、金妍児(韓国)に憧れを持つ。五輪シーズンは、フリーで12年公開の映画007シリーズ23作目の主題歌「スカイフォール」を採用。金妍児は金メダルに輝いた10年バンクーバー五輪SPで「007メドレー」を使用しており、それをほうふつとさせる。国際スケート連盟公認の合計自己ベストは日本人1位宮原と0・70点差、同2位三原と0・64点差という微差の同3位につける。16歳は「毎回自己ベストを更新していきたい」と意気込む。【益田一弘】

 ◆樋口新葉(ひぐち・わかば)2001年(平13)1月2日、東京都生まれ。3歳で競技を始める。14年ジュニアGPファイナル3位。15、16年全日本選手権2位。17年世界選手権11位。名前の由来は、21世紀が始まる01年1月2日に新宿で生まれたため「新」の字が入った。身長152センチ。

樋口新葉のデータ
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