2年連続賞金王の今平周吾(28=ダイヤ)が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ 今平周吾 賞金王の技」。元ロッテ捕手で本紙評論家の里崎智也氏(45)を生徒役に、今より1歩上を目指すアマチュアにアドバイスを送ります。今回は、スコアメークの上で最も重要といっても過言ではないアプローチについて、プロの技とアマチュアが起こしやすい“ザックリ”防止策を紹介します。(以下敬称略)

※動画はさらに高度な今平プロのレッスンです。

2年連続賞金王の今平周吾がアマチュアゴルファーにヒントを伝授する
2年連続賞金王の今平周吾がアマチュアゴルファーにヒントを伝授する

アマチュアゴルファーがパーオンできる確率は低い。プロは約7割ともいわれるが、トップアマでも5割いけば良い方。アベレージゴルファーは2~3割ほどだろう。そう考えると、スコアメークの上でショートゲームがいかに重要かが、おのずと分かるはずだ。

里崎 僕らアマチュアは、パーオンなんてほとんどしない。セカンドをグリーン近くまで打って、あとはどれだけ寄せてパーを拾えるかが勝負になってくる。

国内男子ツアー屈指のショットメーカーの今平だが、いうまでもなくアプローチもピカイチ。通算5勝目となったフジサンケイ・クラシック最終日。最難関といわれた5番535ヤードパー4で、グリーン奥20ヤードからチップインバーディーが優勝をたぐり寄せたことは間違いないはずだ。そんな今平がアプローチの基本について語った。

今平周吾のアプローチ
今平周吾のアプローチ

今平 基本はピッチ&ランですが、寄る確率が高い方法を選択しています。

「寄る確率が高い」。これがキーワードだ。

今平 状況によって打ち方は変わります。エッジからピンが近かったり、バンカー越えのときはロブショットになるし、2段グリーンでキャリーを出して止めたいときはスピンを利かせて止めるような打ち方もします。でも、基本的にはピッチ&ランですね。

今平のウエッジセッティングはPW(47度)と52度、60度。

今平 僕は60度ですが、アマチュアの方はPWや9番アイアンを使ったほうが確率が上がると思います。

60度のウエッジ1本でピッチ&ラン、転がし、ロブショットなど、全てを打ち分ける。一体どのように打ち分けているのだろうか。

今平 ボールの位置だけです。右に置けば転がしやすくなりますし、左に置けば球が上がりやすくなります。荷重も左足体重にすればクラブが上から入りやすくなってちょっと低く出ますし、上げたいときは少し右足に体重をかけて打てば、上がりやすくなります。

アマチュアにとって、60度の転がしは想像がつかない。

今平 ピッチ&ランよりもボール1個分右に置いて、インサイドアウトでフックスピンをかければランが出ます。荷重は6対4で左足ですね。

基本はピッチ&ラン
基本はピッチ&ラン
転がすアプローチと上げるアプローチ
転がすアプローチと上げるアプローチ

里崎 ピッチ&ランと転がしの使い分けが分からないんですよね。

今平 エッジからピンまで距離があるときは転がしのほうが寄ります。

アマチュアが最も起こしがちなミスは“ザックリ”だ。

今平 基本的に打ち急ぎが原因です。打ち急ぐと手が先に出てしまいロフトが立って、バウンスが当たらない状態で刃が先に入ってしまいます。バックスイングとフォロースルーを同じリズムで打てればバウンスが使えるので、ザックリ防止になります。

里崎 バウンスは当てるイメージ? それとも、滑らせるイメージ?

今平 滑らせるイメージですね。バウンスというかソールを地面で滑らせる感覚を素振りで出して、その感覚のままボールを打つといいと思います。

ザックリが出る前に試してみて!


◆今平周吾(いまひら・しゅうご) 1992年(平4)10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年の時、松山英樹らを抑えて日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで2年間腕を磨く。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー5勝。18、19年に2年連続賞金王獲得。20-21年シーズンとなった今シーズン、3季連続を目指す。165センチ、67キロ。

◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打、108本塁打、458打点。14年に引退。ゴルフのスコアはアベレージ「85」。175センチ、94キロ。

◆取材・構成=川田和博

◆撮影=鈴木正人

◆協力=飯能グリーンCC(埼玉)