2年連続賞金王の今平周吾(29=ダイヤ)が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ 今平周吾 賞金王の技」。元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏(45)を生徒役に、今より1歩上を目指すアマチュアにアドバイスを送ります。今回は、コースマネジメント編として、飯能グリーンカントリークラブのバックティー&ベントグリーン使用の1番ホール385ヤードを舞台に、ミドルホールの攻略法を聞くとともに実際にラウンドしてもらった。(以下敬称略)

※動画はさらに高度な今平プロのレッスンです。

1番ホール、385ヤード、パー4
1番ホール、385ヤード、パー4
1番ホール、グリーン
1番ホール、グリーン

一般的なゴルフ場は、アウトとインにそれぞれ2つのパー5とパー3があり、残りはパー4で構成される。つまり、18ホール中10ホールがパー4となる。アベ80台を目指すレベルにとって、このパー4とどのように向き合えばいいのだろうか?

今平 パーセーブというとかなりのプレッシャーが掛かると思います。かといって、ダブルボギー(ダボ)は打ちたくない。ボギーでいいと思って挑めば、10ホールの中で何度かパーが取れるかもしれません。

仮に「89」を目標とした場合、1つでもパーが取れれば、あとは全てボギーでもOK。ミドルホールのパーセーブで、アベ80台の第1の扉は開きそうだ。

今回の舞台はスタートホールで、適度に距離があり、さらに全体的に、緩やかに打ち上げ。右はフェアウエーに向かっての傾斜だが、左にはガードバンカーが口を開け、林より左はガケで隣のホール。このレイアウトを見た里崎のコースマネジメントはこうだ。

第1打 このレイアウトなら、僕は真ん中を狙って打ちます
第1打 このレイアウトなら、僕は真ん中を狙って打ちます
狙いは左バンカー、右のラフならOK、左のガケは最悪
狙いは左バンカー、右のラフならOK、左のガケは最悪
ティーショットは引っかけて左へ
ティーショットは引っかけて左へ

里崎 このレイアウトなら、僕は左のバンカーではなく、真ん中を狙って打ちます。万が一、そこから右に曲がっても、右は広そうなので大丈夫かなと思います。

一方、今平は。

今平 ここで一番やってはいけないのが、左のガケに落とすこと。悪くても右のラフに置きたいですね。狙いどころとしては、里崎さんのいう通りでいいと思います。セカンドの狙いやすさを考えるなら、左バンカーの右狙いがいいかもしれません。

里崎 スタートホールということもあるので、大崩れしたくない。なので、ティーショットはセカンドが打てるところにあればいい。そうすれば、パーオンしなくても寄せて入ればパーだし、入れられなくてもボギーを計算できる。

里崎のティーショットは引っ掛け。

里崎 セカンドが打てそうだからOKですよ!

第2打 フックを掛けるのは無理、6番で低く出します
第2打 フックを掛けるのは無理、6番で低く出します
木を避け、狙いどおりグリーン手前の花道へ
木を避け、狙いどおりグリーン手前の花道へ

だが、行ってみるとカートレールよりも左のラフで、グリーンを狙うには前の木の枝が邪魔になる状況だった。ピンまで130ヤード。

里崎 こんな感じの場所ばかりいくので慣れてます。低い球で狙いますよ! できることはそれしかないですよね?

今平 自分なら、ボールを右足寄りに置いて、9番アイアンかピッチングウエッジでフックを掛けて乗せにいきます。

里崎 それは無理(笑い)。フックを掛けるイメージがわかない。6番で低く出します。

今平 花道狙いでグリーン周りまで行ってくれれば合格です。

里崎の6番アイアンショットは狙い通り花道。ピンまで30ヤード。

第3打 寄せたいところだが…、ピンを11ヤードオーバー
第3打 寄せたいところだが…、ピンを11ヤードオーバー

里崎 ここで怖いのはザックリかな。

今平 打ち急がないでください。

里崎 僕のイメージはカラーまで打って、後はトントンって感じ。

第4打 軽い上りのスライス
第4打 軽い上りのスライス
惜しい、あと30センチ
惜しい、あと30センチ

58度寄せは運悪くエッジの逆目に落ちて、スピンがほどけてしまいピンを11ヤードオーバー。軽い上りのスライス。ファーストパットがカップ右30センチで、お先にパットを決めてボギー。

里崎 上出来でしょう!

ミドルホールでは「パーを取る」よりも「ダボを打たない」と思う方が、メンタル面でも良さそうだ。

2パットでボギーも納得
2パットでボギーも納得

◆今平周吾(いまひら・しゅうご)1992年(平4)10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年の時、松山英樹らを抑えて日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝。21年9月のフジサンケイ・クラシックなど現在ツアー5勝。18、19年と2年連続賞金王を獲得。20-21年シーズンとなった昨シーズンは9位で終了。165センチ、67キロ。

◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBC優勝。08年北京オリンピック(五輪)出場。オールスター出場7度。通算890安打、108本塁打、458打点。14年に引退、15年から本紙解説者に就任。YouTubeチャンネル登録者数は約42・2万人(21年3月現在)。ゴルフのスコアはアベレージ「85」。175センチ、94キロ。

◆取材・構成=川田和博

◆撮影=鈴木正人

◆協力=飯能グリーンCC(埼玉)