10年目を迎えたゴルフレッスン連載に、女子プロゴルファー大里桃子(23=伊藤園)が登場です。スコア100切りを達成し、アベレージ90台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授します。ツアー2勝の大里プロの技を、マネジメントするスポーツインダストリーのゴルフスクールダイレクター新井真一プロ(58)が分かりやすく解説します。第1回は大里が自らのゴルフに迫るインタビューをお届けします。

大里桃子
大里桃子

--クラブを初めて手にしたのは?

大里 小学1年のとき、家族でのラウンドです。練習もしたことがなくて、いきなりラウンドでしたが、スコアはハーフで72でした。全然記憶になくて、スコアカードの記録だけが残っています。

--本格的に始めたのは?

大里 小学3年のときに習いごと感覚でやってみようと思って始めました。

--きっかけは?

大里 父がゴルフをしていて、看板に当てたらお菓子を買ってくれるという感じで誘導されました(笑い)。

--そのころのスコアは?

大里 あまり覚えてないけど小学5年にはちょこちょこ70台は出ていました。

--アマチュアにとっては100の壁があります。100切り達成はいつごろですか?

大里 あまり覚えていないけど、本格的に始めてから1年くらいたったころだったと思います。

--壁はなかった?

大里 80台が出るようになって、70台のところであったかもしれません。

--その壁はどうやって乗り越えましたか?

大里 全然覚えていない(笑い)。バーディーが取れるようになってからいいスコア、ラウンドだったら70台、ハーフなら30台で回れるようになったかな。

--プロになろうと思ったきっかけは?

大里 中学2年のときに日本ジュニアに初めて出ました。まだ他のスポーツもやっていたし、練習もそれほどやっていなかったけど3位になって「あれ~、おかしいなって」(笑い)。それでもっとゴルフをやってみようと思って、他にやっていた部活とかピアノを全部やめてゴルフに専念して、本格的にプロを目指しました。

--プロアマなどでアマチュアをみることも多いと思います。アマゴルファーを見ていて何か感じることはありますか?

大里 人それぞれだと思いますが、小技が上手な人はスコアメークもうまくできていると思います。

--今年のテーマは目指せアベ90台ですが、重要になって来るのは?

大里 とにかく素ダボを打たないことでしょうね。

--アマゴルファーが素ダボ打たないゴルフをするために必要なことは?

大里 ティーショットでOBを打たないにせよ、ちょっと曲げちゃったり、ミドルだったら2打目でグリーンを狙いづらい場所にいってしまったときに無理して狙うのではなく、パーパットを打てるようにまずは確実なところに出すとか、グリーン近くまで運べたらいいとか気持ちを切り替えるといいでしょうね。無理をすると木に当たったりとか、2次被害ですぐにダボになってしまいます。バンカーに入れないとか、そういうことを考えながらやったらいいのかなと思います。

--アマチュアは総じて状況判断が甘いですよね。それ以外にもありますか?

大里 あとは3パット、4パットをなくすことでしょうね。

--90台をキープするためにはショートゲームの精度を上げるのが近道?

大里 そうですね。

--今シーズンの目標は?

大里 まずは1勝すること。それから複数回優勝できたらいいなと思います。体力も大事になりそうなので、まずはケガをしないで試合にしっかり出て行くことと、メジャーの方がポイントも高いので、そういう試合でしっかり結果を出していきたいです。

--2勝目を挙げた去年5月の印象が強いです。あの時の感覚は?

大里 ショットは3月からずっと調子が良くて、でもパターがイップスで打てなかった。パターが悪いときにショットまで崩さないようにしようと思って、ちょっとずつ修正をしていたら、それがかみ合った。正直、半分諦めの気持ちでラウンドしていたら逆にそれが良かったみたいです。パターも「今の調子じゃ入らないよね~」みたいな感じでやっていたら、逆に入るようになってラッキーみたいな(笑い)。

--パターへの考えが重かった?

大里 重く考えていたわけではないけど、急に手が動かなくなります。これは今後も出て来るかもしれないけど、それも覚悟の上で、どうなっても考えすぎないようにと思っています。考えれば考えるほど悪くなるので。

--アマチュアにとってもいえることですよね。30~50センチはアマでも絶対入れたいと思うから、外すとメンタルダメージも大きい。入らないものと思っていれば、入ればラッキー、外してもメンタルダメージも少ないですよね。

大里 そう思います。入らな過ぎて「もういいや」みたいな感じでしたから(笑い)。

--去年5月にはそんな雰囲気は感じなかった

大里 あのころの私を見た人は「何がイップスだよ!」とか思っていたでしょうね。でも、そういうときにはテレビ中継に映るような順位にいないですから。一緒に回った人は「やばっ!」って思っていたと思いますよ(笑い)。気持ち悪かったでしょうね。

--何か試しましたか?

大里 昔はいろいろ試しました。しゃべりながらや目をつぶったり、左打ちも試しました。克服は出来てないけど、今はうまくつきあっています。

--アマチュアでもイップスに悩む人はいます

大里 多分お先に(パット)を外すとなりますよね。“怖い”が舞い降りて来るとなってしまいます。

--イップスになったきっかけは?

大里 (プロ1年目)18年のツアー選手権リコーカップでショートパットを外したことですかね。その後、オフ中のプロアマで4人同じところから打って「最後はプロよろしくお願いします」となりますよね。それがプレッシャーになって、私が外して気まずくなるのが続きました。練習では出なかったけど、19年シーズン開幕戦のダイキンで3パット、4パットを連続して実感しました。一番ひどかったのは関西の試合(19年4月スタジオアリス女子オープン)。最後に1メートルを入れたら予選通過のところをショートしたら、お客さんから「それを届かないのかよ」みたいにいわれて、内心「知ってるから!」って思っていた(笑い)。

--でも、うまく付き合っているといえるようになった

大里 そうですね。開き直っています(笑い)。

--最後に読者へのメッセージをお願いします。

大里 私のレッスンが少しでも皆さんの力になれたらいいなと思います。ぜひ、見てください!

◆大里桃子(おおさと・ももこ)1998年(平10)8月10日、熊本県南関町生まれ。8歳から父のコーチの元、ゴルフをスタート。熊本国府高校時代、全国高校ゴルフ選手権団体戦で1、3年時に優勝、2年は準優勝。17年5月女子ツアー「中京テレビ・ブリヂストンレディース」でローアマ獲得。18年7月プロテスト合格。18年8月「CATレディース」で初優勝しシード権獲得。19年に伊藤園所属となり、賞金ランキング38位で2年連続のシード権獲得。20ー21年シーズンの21年5月「ほけんの窓口レディース」でツアー2勝目を挙げて賞金ランキング12位。契約クラブとボールはブリヂストン、ウエアはジャックバニー、シューズはナイキ。身長171センチ、体重60キロ、血液型A。

◆ちゃんもも 大里桃子プロお気に入りの愛称。インスタなどSNSのユーザー名は自身の誕生日(8月10日)とかけて「chanmomo810」。


◆取材・構成 川田和博

◆撮影 横山健太

◆協力 飯能グリーンCC(埼玉)