黄金世代の実力派女子プロゴルファー大里桃子(23=伊藤園)が100切りを達成し、アベレージ90台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授するゴルフレッスン「『ちゃんもも先生』目指せアベ『90』台」。大里プロの技を、マネジメントを手掛けるスポーツインダストリーのゴルフスクールダイレクター新井真一プロ(58)が分かりやすく解説します。今回はドライバー編として「大里プロの技と基本的な打ち方」についてお届けします。(以下、敬称略)

ダウンスイングで右腰がボールに向かうアマが多い。クラブが外から入ってカット打ちになり、スライスの原因となる
ダウンスイングで右腰がボールに向かうアマが多い。クラブが外から入ってカット打ちになり、スライスの原因となる

アマチュアゴルファーにとって、間違いなく大部分を占めるのがドライバーだ。中には「ドライバーが飛ばないとゴルフをした気にならない」なんてゴルファーも…。

だが、ドライバーは14本で最も長いクラブであり、必然的に難しいクラブとなるはずだ。基本的な打ち方はもちろん大里プロがドライバーで意識していること、また、悩みやそれをどのように克服したのかも聞いた。

新井 ドライバーは得意なクラブですか?

大里 ぼちぼちです(笑い)。

新井 ドライバーで気を付けていることは?

大里 自分はオーバースイングになってしまうのとチーピン(極端に左に曲がるショット)を打ってしまうことがあるので、それを打たないように気を付けています。

新井 アマチュアの方も、左が嫌だと思えば思うほど左にいきますよね。

デモとして、大里プロに実際に打ってもらったショットは、アマチュア憧れのドローでフェアウエーキープとなった。なお、大里プロの20-21年シーズンドライビングディスタンスは241・02ヤードで18位、フェアウエーキープ率は64・3666で62位だった。

“低く長いインパクトゾーン”を意識。ボールに対して十字型に棒を置くとアドレスが確認しやすい
“低く長いインパクトゾーン”を意識。ボールに対して十字型に棒を置くとアドレスが確認しやすい

新井 まずはボールの位置ですが、どのあたりにセットしていますか?

大里 左足かかとのちょっと内側くらいにくるように合わせています。

新井 アマチュアの場合、左足かかとにボールをセットして、そこに合わせにいってしまう方が多いです。ダウンスイングに入るときプロは軸がぶれませんが、多くのアマチュアは右腰がボールに向かって突っ込んでしまいます。

大里 そうすると(クラブが)外から入ってきて、カット打ちにしかならないですね。

新井 そうです。それがアマチュアのスライスの原因です。それを嫌がって手を返すと、チーピンが出てしまいます。

では、これを修正するにはどうしたらいいのだろうか?

新井 ヘッドの入り口を右足の前あたりとし、出口をボールの先50センチあたりまでと意識すればラインを出せて、曲がりも少なくなります。

大里 私も“低く長いインパクトゾーン”を意識しています。

体で始動。腰の切れをちょっと遅らせ、インパクトゾーンの手の動きをスムーズに
体で始動。腰の切れをちょっと遅らせ、インパクトゾーンの手の動きをスムーズに

大里プロが悩んだチーピンの原因と解決方法はこうだ。

大里 インパクトで腰が引けてへっぴり腰になってしまい、手を返してしまうクセがありました。また、右腰が気持ち前に出てしまい手が通る道がなくなっていたので、腰の切れをちょっと遅らせてインパクトゾーンの手の動きをスムーズにできるようにしました。

新井 “腰の切れ”というと、アマチュアは“腰を速く動かす”と勘違いしていますよね。

大里 体を動かすのではなく、重心をちょっと移動させるイメージです。

オーバースイングは“体始動”で解決させた。

大里 手でクラブを上げてしまうクセがあって、トップでムダな動きをしていたので、まずは体で始動することを意識しました。体で始動すれば動く範囲は限られてくるので、それよりも上に行かなくなります。

新井 クラブのフェース面も安定しますよね。手で動かすとフェースも開きやすくなってしまいます。特に今の大型ヘッドはフェースが開くと返しにくいので、(閉じるために)手を返すとチーピンも出てしまいます。

まずは“低く長いインパクトゾーン”を意識してみよう。

◆取材・構成 川田和博

◆撮影 横山健太 

◆協力 飯能グリーンCC(埼玉)