西村優菜(20=スターツ)は小さな巨人になる可能性を秘めている。身長は150センチ。プロ1年目の昨年、樋口久子・三菱電機レディースで6打差を逆転して初優勝したときは、史上2番目の低身長優勝と話題になった。

1月13日、スターツコーポレーションとの所属契約発表の会見で今年の目標を聞かれ「21年は複数回の優勝と賞金ランキングのトップ5に入ること」と抱負を語った。そして、後進へのメッセージを求められると「体は小さいが、ゴルフではそこは関係ない。今後出てくる選手たちに、しっかり伝えたいし、それを証明したい」と真剣な表情で話した。

西村は、昨年ツアー3勝を挙げた古江彩佳、安田祐香、吉田優利らと同世代。00年度誕生でミレニアム世代として、渋野日向子や勝みなみらの黄金世代同様、実力者ぞろいの年代として注目される。西村ら4人は、ガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)率いるユース年代のナショナルチームで活躍したガレスチルドレンでもある。

そのジョーンズHCが、西村の強さの秘密を語ってくれた。「彼女は私が会ったことのあるアスリートの中で、もっとも賢いアスリートの1人だと思います。非常に知性的で、頭脳をしっかり使って、体は小さいが、頭脳が使えるので、身長10~15センチ分は頭脳のおかげで補っていると言っても過言ではないと思います」

体は小さくても、頭を使って考えるゴルフでスコアを積み上げていく。ではどこで頭を使うか。ジョーンズHCの答えはこうだ。「優れているのは試合への準備。コースマッピング、情報収集、ヤーデージブックへの書き込みの仕方。まるで15本目のクラブを持ってプレーするかのように、ヤーデージブックを使います」

ジョーンズHCが挙げた西村のストロングポイントが頭の良さとともに、リーダーシップだ。ナショナルチーム時代は、安田、古江ら実力者ぞろいのなかキャプテン的存在だったという。「彼女が行動で示して、他の選手がそれに従っていくというようなメンターであり、ロールモデルのような存在。そうしたメンタルの持ち主でした」

ジョーンズHCの西村への期待は、同コーチの教え子で米ツアーで活躍している畑岡奈紗のように海外に出て行くことだ。「彼女は英語もしっかり話せますし、ランキングも上がり、トップ50位に入れると、海外メジャーにも出場できる。海外経験もアマチュアであるし、日本であと数回勝って、米国ツアーに行ってほしい」

小さな巨人が米国で活躍する日も、そう遠くない気がする。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)