日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の20年度最終プロテスト(6月22~25日、茨城・静ヒルズCC)が行われ、22人の合格者が決定した。すでにレギュラーツアーの試合で優勝争いを繰り広げるなど存在感を高めていた双子の岩井明愛(あきえ)、千怜(ちさと、いずれも18=武蔵丘短大)姉妹もそろって合格。豊かな才能に「双子」というドラまで乗った2人の今後に、大きな期待を抱いている。

プロテストの双子同時合格は91年の本山恵子&裕子、10年の池内絵梨藻&真梨藻以来、史上3組目の快挙だった。髪の長さ以外はそっくりな2人だが、性格は全く違うという。妹の千怜いわく、姉の明愛は「いい意味でのおおざっぱというか、考えすぎずにすぐできてしまうタイプ」。一方で自身は「自分が納得するまで考えて、練習して実践するタイプ」だと語った。それはプレースタイルにも表れており、明愛は「私はパー5は2オン狙い。距離が足りていれば狙っていくスタイルです」と積極的。12位に入ったリゾートトラスト・レディース(5月27~30日)ではどんどんピンを攻め、4日間で3つのイーグル(パー5で2つ、パー4で1つ)を奪ってみせた。

他競技も含め、スポーツ界では双子で活躍するアスリートは意外と多い。サッカーではジェフ千葉などで活躍した佐藤勇人、寿人兄弟、女子でも大竹七未、夕魅姉妹らがおり、陸上でも宗茂、猛兄弟をはじめ、長距離界で活躍する設楽啓太、悠太兄弟や市田孝、宏兄弟らがいる。私は市田兄弟と同学年で、中学3年時の全国大会男子3000メートルで2人がワンツーフィニッシュを決める瞬間を目撃した。まるで息を合わせるかのように走り、最後のスパートもきれいにそろえて他選手を振り切ってゴール。会場はどよめきに包まれた。今でも鮮明に覚えている、双子のパワーを存分に感じたレースだった。

記者としてサッカー担当になったあと、ジェフ千葉担当として佐藤兄弟と絡む機会もあった。その時も2人はお互いの活躍への刺激を口にしていた。寿人は先に引退してクラブ業務に励む兄を思い「勇人も頑張っているから」と練習に励んでいた。

今回の岩井姉妹も、パナソニック・オープン(4月30~5月2日)では初日で千怜が5位につける好スタートを切ったかと思えば、翌日は明愛が6位に順位を上げ、そのまま優勝争いも演じて3位に入ったことがあった。明愛は第2ラウンド後、「妹の活躍がすごく刺激になって、自分も頑張らないとなと思った」と語っていた。

やはり双子には双方に特別な力を生み出す何かがある。プロテスト合格後、明愛は「いつか妹とツアー最終日最終組で優勝争いを演じたい」と意気込み、千怜も「双子でゴルフ界を引っ張っていけるように頑張りたい」と目標を語った。これからどんな成長と活躍を見せてくれるのか。今からとても楽しみになっている。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

21年6月 スコアボードの前で笑顔の岩井明愛(左)と岩井千怜姉妹(代表取材)
21年6月 スコアボードの前で笑顔の岩井明愛(左)と岩井千怜姉妹(代表取材)